「自分ゴト」で、離職しにくい組織づくり

<自分から勉強させるには>
 とはいえ、当人が未熟な場合には、いきなり仕事を任せるのは厳しいでしょう。せめて宅建でも取ってくれれば、と思うのですが、彼らの向学心を刺激するのはなかなか難しいものです。当事者意識を持たせたほうがいい、という話をしたばかりですが、自分で自分を奮い立たせて勉強するのは、ダイエットと同様、決して簡単ではありません。それこそ、結果にコミットする某ジムのように、人からある程度管理されるシステムのほうが成功しやすくなります。
「うちは宅建手当も用意しているし、入社3年以内に宅建を取れ!と厳しく言っているのに、宅建士が増えない」
 こうした悩みは、まさに本人のやる気と制度とがミスマッチを起こした結果です。上司が口酸っぱく「宅建を取れ」と言っても、当人はとりあえず試験だけ受けて「落ちました」と報告してくるのが関の山です。
 私も様々な資格を取りましたが、最初に取得したのはやはり宅建でした。そして、その合格の喜びが、後の学びのモチベーションにつながりました。宅建合格という一つの成功事例が自信となり、スキルアップする喜びとなり、仕事の幅を拡げたのです。ある意味、私のターニングポイントは宅建合格といっても過言ではありません。それまで大の勉強嫌いだったわけですから、宅建から始まり、AFP(2級FP技能士)、CFP、1級FP技能士、CPM(米国不動産経営管理士)と、自らをアップグレードしていきました。
 仕事も勉強も、ともかく「他人ゴト/会社ゴト」から「自分ゴト」に変えられるかどうかがモチベーションアップのカギです。そして会社は、スタッフが様々なことを「自分ゴト」と捉えられるよう工夫するべきです。当事者意識のある社員は、組織にとっても大きな財産となるでしょう。