<スペシャリストの育成>
では、どうすればこのギャップを埋められるでしょうか。答えは、やはり「スタッフの教育」の一言に尽きます。不動産業、特に賃貸仲介や賃貸管理は、経験不足でもこなせてしまう業務が多いため、自己研さんを積極的に行なう社員が出てきにくい仕事です。組織はなんとかしてスペシャリストが育つ環境を作らなくてはなりません。そのためには、研修などを通じて社員教育を行うことが一番の近道なのです。社内での研修ももちろん良いのですが、どうしても緊張感が抜けてしまいます。よって、外部のプロ講師に教育を任せて、全員が第一線で戦える知識を増やすことが重要と言えます。
また、組織体制を「物件担当制」から「業務担当制」にシフトするのは一つの手です。物件担当者を作ってすべてを任せると、当事者意識こそ育つものの、肝心のスキルは中途半端にしか伸びず、提案等も多忙によってなおざりになってしまいがちです。反面、組織を業務ごとに束ねると、各課にそれぞれのスペシャリストが育つようになり、レベルの高い業務ができるようになります。問題発生時にも、オーナーに組織として向き合えるため、オーナーの中に組織全体に対する信頼度が醸成されます。
また、現場スタッフが必要な知識をすぐに学べる環境も大切です。スペシャリストの育成には、当然ですが正しい知識と教育の機会が必要です。いつでも・どこでも学べる環境、そして「どれだけ学んだか・どれだけ成長したか」が一目でわかる環境があれば、社内の人材育成も格段に効率的になります。スタッフの得手不得手を数字で明確に把握し、得意分野を積極的に伸ばすような教育を施せれば、本人のモチベーションを上手に保ちつつ、会社に必要なスペシャリストを早期育成することも可能になります。