オーナーへの情報発信

 賃貸管理業には、同業他種に比べ、ある優位な性質があります。それは、特定の資産家と、永続的に継続取引ができることです。業務上の報告が中心ですが、毎月一定回数以上、必ず顧客との接点を持てるのですから、管理オーナーへは他社よりも先に資産活用提案ができるチャンスがあります。ところが、多くの管理会社はなかなか提案の機会を持てずに、多大な機会損失を起こしています。例えば、「物件を売却することになり、次のオーナーが管理を別の会社に委託することになった」というようなことは、みなさんも経験がお有りかと思います。もし常日頃からオーナーとの接点を持ち資産背景を掴んでいることができれば、少なくとも以下の3つの機会を得られます。

  1. 売主から売買の専任媒介を受けることができる。
  2. 自社で管理を受けている他のオーナーへ、非公開物件の購入提案ができる。
  3. 管理を継続委託していただく。

 しかし現実は思うようにいきません。なぜ、これら3つの機会全てを逃してしまうのでしょう。理由は、不動産のプロとして伝えるべき、オーナーへの情報発信が不足しているからなのです。つまり、オーナーは管理会社に対して「資産活用提案ができる会社」と言うことを認識していないのです。本来、管理会社は、オーナーの資産を把握し最適なポートフォリオを築ける資産形成パートナーであるべきです。しかし、ただの管理会社で収まってしまっているのです。不動産の取引は、日常的な買い物とは違い、いつ「取引の機会」が発生するかわかりません。ですから、常に情報を発信し続け、その時を待つ必要があります。

 オーナーへの情報発信は、下記のような方法があります。

  1. 個別訪問
  2. 会報誌(オーナー向け新聞やニュースレター)
  3. セミナー・勉強会
  4. ブログ・SNS
  5. パーティー・宴会

 全て有効なコンテンツですが、ポイントは各種媒体を利用して、何を伝えていくかです。目的もなく、ただ闇雲に行っても、コストがかかるだけです。別表の頻度を見て頂くと、おそらく忙しくてそんなにできない!と思われる方がほとんどでしょう。しかし、時間の使い方をよく考えてみてください。広報の仕事は、やり方次第で一度に何人ものオーナーを満足させられます。またライバル他社が、オーナーに対して有用な情報提供をできているでしょうか。他社ができていないのであれば、競争優位性はさらに高まります。結果として顧客満足が高まり、管理会社の収益性も高まります。情報発信を通じて差別化をすることが、今後の管理会社の質と収益性を左右すると言っても、過言ではありません。