他社を知ることが、なぜ重要なのか

■気づきは比較の中から生まれる

 私は前職でも、積極的に他社と関わることをしてきました。イベントの企画や実施、合同研修など若いスタッフが外と触れ合う機会ほど貴重なものはないのです。イベントや研修に参加し情報交換を行なうことで、社員が多くの気づきを得られるし、親交の深い管理会社数社と定期的に意見交換会を行なったり、不動産業界の様々な業種を集めての名刺交換会を主催したりもしています。「かわいい子には旅をさせろ」ではないのですが、他を知らないと、己を知ることができません。

3社合同若手研修

 また、研修や専門知識を得るための機会を促すことも重要です。教わる内容としても発見の多い講義ですが、ここではさらに、様々な経験をしてきた他の受講者たちと同じ目的を目指す中で、自分とは違った思考のプロセスや仕事のやり方を垣間見ることができます。その「違い」の発見が、今の会社や仕事の仕方に対する気づきを生み出します。社員を教育するとなると、つい目的が「知識を得させること」になりがちですが、他社と一緒に学び、情報交換をする中で「比較の機会」を得させることも大切なのです。

■外での学びを自社の動力に

 ビジネスを成功に導く方法は様々ですが、組織が人の集合体である以上、社員の知識や経験の醸成は成功の大きな要因となります。彼らに何かを気づかせ改善させたいと考えるなら、彼らを積極的に外へと連れ出し、刺激を与えるべきです。同じような悩みを持つ会社の成功・失敗事例ほど役に立つ情報はないのですから、特に同業者が集まる情報交換の機会は積極的に活用するべきでしょう。研修をきっかけに横のつながりが生まれ、面白いビジネスにつながることも珍しくありません。外での学びは自社を動かす動力ともなりえるのです。
 多少のコストはかかっても、社員たちが「知識」「気づき」「人脈」を得て帰ってくると考えれば、十分に見合う投資です。あとは、そうした情報が最終的に、社外に出なくとも入ってくる状況となれば理想的ですね。自らイベントを主催するのもいいですし、インターネット経由配信型の研修に参加するのも面白いでしょう。アナログとデジタルの両方向から外部の情報を取り込み、自社と社員を成長さえる糧としていきたいものです。