従業員の育て方

<業務負担は適切か>
 最後に、社内の業務の在り方を確認しましょう。どれだけ教育に力を入れても、付け焼刃で捌ききれない業務量をいきなり任されるような現場では、最終的に「センス」「根性」といった非論理的な基準での採用に逆戻りしてしまいます。
 高い離職率の要因のひとつは、賃貸管理の業務が属人的であり、そしてクレーム対応・集送金業務・リーシング・現場での営繕など、その業務が多岐にわたることです。社員が毎日夜遅くまで残らなければならないほどの仕事量ゆえ、多くの社員が疲弊してやがて退職という流れになるのです。
 他業種に比べてアウトソーシング活用が少ない賃貸管理業者は、ほとんどの会社ですべての業務を内製化しています。内製化は悪いことばかりではありませんが、何でもこなせる優秀な社員を育てるには時間がかかりますし、何でもできるまで育った社員が前述の流れで退職となった際には、組織のダメージは計り知れません。Webの発達によって「クラウドソーシング」等の概念も登場し、アウトソーシングは効率的に業務を進めるための一般的なツールになりつつあります。手塩にかけて育てた社員には管理受託等の生産性の高い業務を任せ、生産性の低いクレーム対応等はアウトソーシングする、そんな戦略を採ることで、事業の収益性を高めながらも、良い人事を構築するための体制を整えることが可能となるのではないでしょうか。