従業員退職による、管理会社の損失

<退職者面談>

 退職が決まった後、冷静に話す機会がなければ「なぜ退職に至ったのか」が分からずじまいになる。退職には、キャリアアップのような「ポジティブ」なものと、そこで働くことが嫌になったという「ネガティブ」なものが存在する。大半の退職理由はネガティブ要因が多く、本当の理由を会社側が知らなければ、いくら人が入っても穴の空いたバケツのように辞め続けてしまう。そこで退職者面談が必要になる。ただ、ほとんどの場合は真実を告げずに辞めていくことの方が大半で本当の理由は分からずじまいのままとなる。そこで、直属の上司はあえて避けて、同僚や別の部署の上司などが面談すると、本当の理由が聞き出しやすくなる。

<退職を防ぐ>

 退職理由で多いのは、「仕事を強要される」「残業が多い」「キャリアアップが見込めない」「仕事に楽しさが見出せない」「人間関係の悪化」などがある。いずれも会社からの強烈なコントロール下で、やる気を見出せなくなるようだ。賃貸管理業の中でも、特に現場担当者やクレーム対応を受ける人は、ルーティーンでこなす目の前の仕事が窮屈になり、自分が成長しているのかどうかも見出せず辞めていってしまう。退職を防ぐためには、とにかく現状で働くための動機付けやモチベーションを上げることが大切だ。そのためには、ある程度の決定権を与え、仕組みづくりや業務改善など、思い切って「自由にやらせる」ことが良い。同じ仕事でも「言われてやる」ことと、「自分で決めた」ことは、重みが違う。多少失敗があったとしても、おおらかな目で見守りどんどんチャレンジさせることが、従業員を育て長く働いてもらうための解決策ではないだろうか。

<まとめ>

 退職による損失は、目の前のことばかりに目を奪われがちであるが、将来に渡って見えない損失をもたらしていることになる。どんな人でも最初から完璧な人などいない。人材を「育てる」ことに意識を向けて長く働いてもらえる環境づくりをしていかなければならない。