空室改善提案のカギは、管理会社の組織デザインから

<管理会社の理想的な組織デザインとは?>

 サッカーでは、戦術や選手の最適配置を考慮してフォーメーションを変えます。それと同様に、企業もその規模や外部環境・内部環境の変化に応じて、常に最適なフォーメーションを描かなければなりません。そこで、私が理想とする賃貸管理会社の攻めのフォーメーションをご紹介します。先のワールドカップでザックジャパンも利用した攻撃的布陣「4-2-3-1」です。

 日本代表は負けてしまいましたが、その辺りは気にしないでください。(笑)

 はじめに、ディフェンダー:DF(守備的なポジション)には、入居者対応や出納業務、現場対応などの仕事に加え、レポーティングを配置しています。ここで言うレポーティングとは、オーナーへの「入居者対応報告」や、募集状況を反映した「リーシングレポート」などを言います。必要と知りつつ、現場スタッフは「作業」に追われているため、実際に起こっている事を数値や文章などへ「見える化」(文字化)する余裕はありません。しかし、その最後の詰めである「見える化」をしないために、決定的なアピール不足となっています。例えば、出納業務もクレーム対応も現地対応も、迅速にミス無く行っていても「入居率が悪い」と言うことでオーナーが離れてしまったことはありませんか?当然、賃貸経営ですから入居率を高める空室対策は管理会社に与えられた最大の使命です。入居率は、送金明細などで分かるため評価をしやすいのですが、入居者対応や現地対応などは、その手間の割に「見える化」されていません。情報を残すことは手間で後回しになりがちですが、社内の情報共有やオーナーへのアピールなど、汎用性が高くメリットが大きいのです。つまり、レポーティングの主な役割は守りですが、「見える化」でアピール(攻撃)もできる…ということで、日本代表の長友選手と同じ左サイドバックに配置しました。(笑)

 それから守備的ミッドフィールダー:(守備的MF)には、「数値分析」と空室対策の要である「リーシング戦略」を配置しました。物件ごとの入居率・反響率・内覧数・申込率などの数値を知ることで「なぜ空室なのか?」を分析出来ます。それから、それらの情報を元に、どのように改善をすべきかという「戦略構築」をします。この辺りの「分析・戦略」に時間や人材を投下できていない企業が非常に多いのですが、「分析・戦略」が無ければ、その前の前線へと、パスを繋ぐ事ができません。