管理会社における、サービスの見える化

<商品化はされているか>
 数多く寄せられる相談の中でも、やはり経営者の皆さんが気にされるのは「管理受託の方法」です。今後は管理に重点を置いて管理戸数を増やしていきたいが、思ったように増えない、あるいは、その方法が分からない…という相談は、これから管理を始められる会社はもちろんのこと、十年以上前から管理業を行なっている会社からも寄せられることがあります。
 そうした場合にまず確認したいのは、サービスがきちんと『商品化』されているかどうかです。コンビニや百貨店で売っているような『目に見える商品』は、ブランドと共に金額などが明確です。一方で、不動産管理は、どんなことをするのかが分かりにくい『目に見えにくいサービス』です。よって、まずは漠然としているサービス内容を精査し、「○○円の管理料であれば○○の業務まで引き受ける」をはっきりさせた『管理メニュー(商品)』を作るべきです。提供されるサービスとその対価が明確になって初めて、オーナー様も「お金を払う価値があるか」を検討できるようになるからです。

<商品化の副産物>
 しかしながら、この商品化という作業は、やってみると意外にハードであることに気がつきます。商品とするからには、これまで漫然と行なってきた業務をすべて書き出し、ひとつひとつ「この管理料でやるべきか・やるべきでないか」を判断して、業務の整理整頓を行なわなければならないからです。
 具体的には、まず数種類の管理料を想定し、それぞれの業務について「5%ではできない」「7%ならできる」と、順番に仕分けしていくことになるでしょう。管理メニューのない会社は、おそらくこの非常に手のかかる作業が過去に止まってしまったのです。気持ちは分からなくもないですが、管理会社として「何をするか」を決めなければ、この先の展望は開けません。また、商品化を通じて思わぬ副産物が得られる可能性もありますので、絶対にやるべきです。
 たとえば、この「どんな仕事で管理料を頂戴するか」を定義する作業は、言い換えれば「管理料をもらえないならやらない仕事」を見つける作業です。これまで過剰サービスになっていた部分が明確になれば、大幅な生産性向上が期待できます。そして、不要な仕事の削減によって生まれた時間は、更なる管理受託の時間に振り替えることができるのです。