Q:会社の収益安定と将来的な顧客囲い込みのために、ストック経営である賃貸管理業の受託を強化したいのですが、どこから手を付けたら良いのかわかりません。何から始めたら良いのでしょうか。
A:自社の「強み」を明確にし、どのような「管理業務」をしているのか、サービスメニューを明確に『見える化』しましょう。
<サービスの見える化>
一般的に企業経営における『見える化』とは、企業活動の変化や無駄を、数値やグラフを用いることで常に見えるようにし、問題点をカイゼンし易くすることを言います。一方で、企業固有の強み(差別化)や業務範囲などのサービスを、誰でも分かるように共有化することも『見える化』の1つと言えます。
賃貸管理業は、多種多様の業務を抱えています。それらのサービスを『見える化』ができていないため、多くの管理会社で、自社の存在価値をオーナーに伝えきれていません。例えば、管理会社は成果をアピールし易い入居募集以外にも、出納業務、入居者対応、物件現場対応、建物維持管理など、オーナーに代わって、様々な縁の下の仕事を一手に引き受けています。ところが、管理会社の良し悪しは、入居付けで判断され勝ちです。なぜなのでしょう。それは、管理業務の内容が、口頭で漠然としか伝えられていないからです。実は、管理会社の担当者も、どこまでが本来の業務範囲なのか曖昧な場合が多いのです。よって数値化されやすい入居付けばかりがフォーカスされてしまうのです。自社のサービス内容を明確に知らずして、管理戸数のシェアを開拓することはできません。まずは自社が行っている業務を全て書き出して、オーナーに何を提供できているのか、認識してみましょう。
<現状分析>
現状分析では、自社を取り巻く業界の機会・脅威(外部環境)、それから自社の強み・弱み(内部環境)などを、総合的に判断しなければなりません。そのためにSWOT分析(※1)という手法を用いて、自社の特性を客観的に診断します。その中でも最も着目すべきポイントは『強み』にあります。できるだけたくさん書き出してみましょう。いくつか例を挙げると、「地域No.1の客付け力」「管理エリアが2km圏内に集中」「入居率が95%以上」「情報発信力が高い」「差別化された独自の管理体制」などがあります。弱みを補うよりも強みを強化する方が、競争優位性を高めやすく、企業の価値をアピールする上では効果が高まります。
<強みを絞る>
「強み」を出したら、できるだけ他社が追随しにくいものを、2〜3つ程度に絞り込みます。徹底的にその強みに焦点を当て、メリットを書き出します。例えば、当社(管理会社:アートアベニュー)では賃貸借契約に「再契約型定期借家契約」を用いています。定期借家と言っても「再契約型」としているので、入居者は契約違反を犯さない限り、普通賃貸借同様「原則的に」住まい続けることが可能です。普通賃貸借に比べて手間は増えますが、悪質な入居者が居座り続けて、良質な入居者が退去する経営リスクを減らすことができます。再契約型定借はオーナーにも入居者にもメリットがあるのですが、管理会社に手間がかかるというだけで、なかなか他社は追随してきません。よって、当社の明確な「強み」となっているのです。

<メニュー作り>
レストランにはメニューがありますが、複雑なサービスを提供する賃貸管理には、なぜかメニューがありません。そもそも賃貸管理料の5%の根拠とは何なのでしょう。例えば、カレーはどのレストランでも同じ700円ということは100%ありえません。質を高めて1,200円で売るところもあれば、安さを目玉に400円で売る店もあります。さらにサラダやスープをオプションで選んで頂けるよう、顧客のニーズに合わせたサービスを提供しているお店もあります。ところが、賃貸管理はほとんどの企業が、一律入居賃料の5%でサービス内容は不明確。これでは特徴がわからず、良し悪しの判断がつきません。対応策としては、自社のサービスを一つずつ項目出しして「管理メニュー」を作ります。サービス内容に応じた価格設定にしなければ、オーナーに説得力のある提案ができないのです。

<まとめ>
自社の強み、メニューが出来上がったら、あとはパンフレットやホームページなどへ落とし込みをして、誰が見ても分かるように共有化しましょう。口頭で営業マンがあれこれ説明するよりも、はるかに説得力のある管理受託提案ができるはずです。自社が行っている業務内容を『見える化』することで、管理会社の存在価値をアピールすることができるのです。