DIY賃貸で注意すべきこと

国土交通省が中古住宅流通促進のために取り組みを行なっているDIY型賃貸借。
そもそも「DIY型賃貸借」とは何でしょうか。

借主(入居者)の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約、と定義されています。DIYといえば自分で補修や工事を行うイメージですが、ここでは借主が工事業者に発注することも含まれます。

通常の賃貸借契約ではできないような、壁に棚を取り付ける、だとか壁紙を張り替える、和室を洋室にする、といったことがDIY型賃貸借では、借主の意向によって行うことができるのです。

所有する空き家を貸したいと希望する場合に、ハードルになってくるのが、借り手がつくようなリフォームを行うことです。その負担が大きいがために、賃貸に出せない所有者は少なくありません。そういったときに、「DIY型賃貸借」として現状のまま貸し出す選択肢があれば、空き家の流通が促進されます。

ただそれには、様々なトラブルが想定されます。所有者としては、そういったトラブルを事前の取り決めによって防いでいく必要があります。

所有者(貸主)として注意すべき点、事前の取り決めが必要である点
■DIY工事の責任の所在
工事によって第三者に損害を与えた場合や、建物躯体に損傷を与えた場合
国交省の契約書式では工事実行者または借主が責任を負うこととされています。

■工事により新設、増設、変更になった箇所の所有権
一般的に、住宅と一体になり分離されない工事部分は貸主の所有とされます。
他の箇所については取り決めが必要です。

■明け渡し時の原状回復について
原状回復を行うのか否か、行うとすればどこまで行うのか。工事物を残置する場合に、工事箇所に経年劣化・通常損耗以外の補修の必要があった場合にどうするのか。この辺が一番悩ましいところかと思われます。

■精算について
工事費用の精算の有無、買取請求の有無など。

中古住宅の流通促進が目的であるがために、現段階では共用住宅のDIY型賃貸借契約はあまり多くないのかもしれませんが、築古物件を中心に、今後増加していくことが考えられます。空室対策の一環で、と安易に取り組むとトラブルに巻き込まれるかもしれません。万全の対策で、トラブルを未然に防ぎ、貸主借主がともに満足できる方法をとっていきましょう。