<教育不足の非効率>
いよいよ4月を迎えました。新卒・中途にかかわらず、この時期に社員を採用した企業も少なくないかと思います。組織の基本はやはり「人」です。採用は経営戦略の中でも重要な要素であると言えるでしょう。
しかし、不動産業の中でも特に管理業は離職率が高いのが特徴です。また、せっかくコストをかけて募集・採用をしているにも関わらず、その後の教育の部分がおろそかになっている企業が多いようにも感じます。例えば、営業職の教育過程で「営業は個人のセンスだ!」などといって具体的な指導をせず、現場で覚えろとばかりに問題を押し付けて放置してしまっていることがないでしょうか。背中を見て覚えさせることも時には必要ですが、あと少しだけ手を貸してやれば伸びたかもしれない新人を、みすみす辞めさせてしまっているのでは、社員も会社も効率的に成長することは叶いません。

<実践型の手法>
そこで教育に取り入れたいのが、経験型・実践型の教育手法です。勤務中の忙しい中で時間を割くのですから、学習や教育は効率よく行いたいものです。一番効率が悪いのは、ただ一方的に教え聞かせるだけのケースです。実際に、ただ聞くだけの人は内容の20%も身につけられないと言われ、その事実を知らずに「教えたのにできない」と非難するのは、教える側にも教えられる側にも利がありません。
反対に、実際の経験に近い形「ロールプレイング」と言われる対話手法は、内容の実に80%が身につくと言われています。教えられる側に、学んだことを理解し、確認し、本番を想定して活用する場を与えるのです。読む→書く→話し合う→経験する(ロープレ)を組み合わせて教育していくことが、段階を踏んだ効率のよい教育(学習)方法であるといえます。
外部の研修を受ける際も同様です。新入社員用のマナー研修が名刺交換やお辞儀などを何度も繰り返し実践させるように、体験を織り交ぜた研修のほうが短時間で多くの内容を習得できます。最近では、スクール型よりもワークショップ型のほうが多いと感じるくらいに、実践型のセミナー・研修が増えてきました。1週間も2週間も外部の研修に参加させるわけにはいきませんから、短期間でより多くの収穫が期待できるものを企業が選ぶのは当然でしょう。もしかしたら企業もまた、「実践型のほうが社員の習熟度が高い」という「経験」によって、研修の選び方を学んだのかもしれません。

<業務負担は適切か>
最後に、社内の業務の在り方を確認しましょう。どれだけ教育に力を入れても、付け焼刃で捌ききれない業務量をいきなり任されるような現場では、最終的に「センス」「根性」といった非論理的な基準での採用に逆戻りしてしまいます。
高い離職率の要因のひとつは、賃貸管理の業務が属人的であり、そしてクレーム対応・集送金業務・リーシング・現場での営繕など、その業務が多岐にわたることです。社員が毎日夜遅くまで残らなければならないほどの仕事量ゆえ、多くの社員が疲弊してやがて退職という流れになるのです。
他業種に比べてアウトソーシング活用が少ない賃貸管理業者は、ほとんどの会社ですべての業務を内製化しています。内製化は悪いことばかりではありませんが、何でもこなせる優秀な社員を育てるには時間がかかりますし、何でもできるまで育った社員が前述の流れで退職となった際には、組織のダメージは計り知れません。Webの発達によって「クラウドソーシング」等の概念も登場し、アウトソーシングは効率的に業務を進めるための一般的なツールになりつつあります。手塩にかけて育てた社員には管理受託等の生産性の高い業務を任せ、生産性の低いクレーム対応等はアウトソーシングする、そんな戦略を採ることで、事業の収益性を高めながらも、良い人事を構築するための体制を整えることが可能となるのではないでしょうか。