<業界の教育方法は適切か>
ここ数回、社員教育の方法について書かせていただいていますが、こうして原稿を書くのに事欠かないほど、不動産会社の社員教育は「ブラック」であることが少なくありません。特に営業を担当している多くの方は、スキル獲得に多大な苦労してきた経験をお持ちなのではないでしょうか。「入社したばかりにもかかわらず、先輩から何も教えてもらえない」「やったことのない業務なのに、少しモタついただけで灰皿が飛んできた」「上司から直接教えてもらえると思ったら、いつの間にか深夜まで続く”激詰め”に変わっていた」…などなど、笑うに笑えないエピソードである一方で、業界内では意外と珍しくない話であるのが恐ろしいところです。
もちろん、敢えて厳しく教育することでメンタルの強い社員を育てることは可能です。しかし、根性や情熱だけでは売れなくなった昨今、必要以上に厳しい教育は会社の生産性を下げる可能性があります。客観的に見れば、新人に営業としての正しいスキル、正しい知識を短時間で身に着けさせ、「一人前の社員」として長く活躍させることが会社のベストプラクティスではないでしょうか。採用しては厳しく教育し、半年と経たずに辞めさせてしまう…、これではいつまで経っても組織の中に事業を拡大する土台が整いません。
<目に見える教育>
では、我々はどのように社員を育てればよいのでしょうか。たとえば、営業スタッフ教育について相談された際、私がオススメしている方法のひとつに「ロープレチェックシート」の活用があります。
座学や営業同行は当然のこと、営業力を鍛えるには、やはりロールプレイングが効果的でしょう。顧客役・営業役に分かれての模擬営業は、上司や先輩の持っているノウハウを実践に近いかたちで伝えられる優れた手法です。しかし、この訓練で気を付けたいのは、ついつい内容が「あら探し」「お説教」になってしまいがちなところです。上司・先輩からすると悪い点ばかり目につくのですが、説教だけでは本人のモチベーションが下がってしまうばかりか、「何ができていて、何ができていなかったのか」という根本の部分がきちんと伝わりません。
そこでチェックシートの出番です。ただ口頭で注意するだけでなく、評価をチェックシートに落とし込んで項目ごとに点数をつけていけば、教える側にも、教わる側にも「できている点・いない点」が明確に示されるようになります。ロープレを繰り返すごとに点数が変われば、自分の努力や工夫が実っているかどうかの確認もできるでしょう。人の成長には「道しるべ」が必要なのです。目に見える形でその道しるべが示せるかどうかで、会社が人を育てる効率は大きく変わるのではないでしょうか。

<教育にも見える化を>
ロープレに限らず、社員の成長度合いが目に見えることは、会社にとっても社員にとっても大きなメリットです。売上の数字だけでなく、会社はもっと様々な「見える化」を行ない、社員の成長を導くべきではないでしょうか。導入しやすい見える化の例としては、1.マニュアル化と習熟度試験 2.資格手当の導入 3.成長ミッションの導入 4.昇格試験 5.必修研修プランニング 6.業務学習ツールの導入などが考えられます。
入社して間もない社員にとって、マニュアル化と習熟度試験や資格手当の導入といった目標は非常に分かりやすい道しるべとなります。業務に必要な知識の吸収も、目標がない状態よりずっと早くなるでしょう。また、成長ミッションの導入や昇格試験といった人事制度を設けることは、中堅社員の向学心を刺激するだけでなく、目立った動きのなくなった彼らの実態を組織が把握しやすくなります。必修研修プランニングや業務学習ツールの導入といった外部のツールを使えば、社内のリソースを削ることなく社員を教育し、且つ全体の習熟度をテスト結果等で明確に把握できるようになります。オンライン学習とスクーリングを組み合わせれば、コストを抑えながら効果的な社員教育が実現するでしょう。
人口減少が始まる日本社会において、社員教育の重要性は益々高まっていきます。そのとき、御社には社員の成長度合いを「見える化」するツールがあるでしょうか。
