業績が上がらない、 管理戸数が伸び悩んでいる…、悩みを抱える全国の賃貸管理会社様をご支援させていただくと、ある問題が共通していることに気がつきます。会社の規模は大小さまざまですから、これは賃貸管理業全体の特徴でもあるのでしょう。日々の業務は真面目にこなしているのに業績が上向かないのはなぜなのか? 今回は「経営資源の作り方」について考えます。
■4つの経営資源
管理事業を拡大する、と言葉にするのは簡単ですが、現実はそううまくいかないものです。何か新しいことを始めるには当然、それなりのパワーとエネルギーが必要で、皆さんが仮に一念発起してトライアスロンを始めよう!と思い立ったとしても、実際にレースに出るには厳しいトレーニングを重ね、筋肉・体力をつけ、金銭的・時間的コストもかけなければならないのと同じことです。
企業であれば、必要になるのはいわゆる経営資源、ヒト・モノ・カネ・情報です。これらの資源なくして日々の組織運営は叶いませんし、事業拡大を目指すとなれば相応の資源がさらに必要となります。しかし、多くの企業は「モノ」や「カネ」には敏感でありながら、「ヒト」と「情報」については軽視しがちであるように感じます。そしてこの感覚こそ、何か新しいことを始める際の組織の体力的な問題を生みだしているように思えてなりません。
■人の離職に伴う損失
経営資源としての「人」の価値は想像以上に大きいものです。仮に従業員が退職したとしたら、そこには下記のような資源の損失となります。
また、退職者の役職や辞め方によっては、
など、今後の経営に対する更なるダメージが伴います。これらは図1のように、過去だけでなく将来に向かっても組織に影響を与えるため、決して楽観視できません。そして何より問題なのは、この「人の損失」がもうひとつの経営資源「情報の損失」をも引き起こしてしまうことです。

本来、仕事に関する重要な情報は、たとえ担当者が退職したとしても企業に残って然るべきものです。実際、退職となれば多くの会社で後任者に対する「引き継ぎ」が行われ、情報資源の保全が図られていることでしょう。しかし、この引き継ぎによって、担当者の頭の中の知識がまるまる後任者に移行されることは絶対にありません。例えば、入居者からのクレーム対応履歴や、オーナーの資産状況など、うわべのことは伝えられても、具体的にどんなことを話したのか、どのような経緯があったのかなどは、ほぼ伝えられないままとなっているはずです。
■情報を残す仕組みを作るには
この「情報の損失」を解決するには、担当者の頭の中にしかない情報・知識(暗黙知)を、日常から誰が見ても分かる形の知識(形式知)にしておくことが重要です。いつどの物件で何が起こったのか、誰とどのような話をしてどんな結論に至ったのか、入居者やオーナーとの対応履歴を細かく履歴に残すだけでも、社内全体での「情報の保全」が図れます。
また、そもそもこうした履歴を残すことは、お預かりしている物件のスムーズな管理・運営や、いざ売却となった際のプラス要素として役立てることができるため、PM会社として常日頃から気を付けているべき部分です。ただ漫然と管理を行なうのではなく、その中で得られた情報を記録・蓄積し、オーナーの賃貸経営に役立てることができれば、管理ビジネスのレベルも自然と高めることができるでしょう。
ただし、実際にこの情報の保全をきちんと行なおうと思うと、入力の手間や情報共有のインフラ構築といった問題の解決が必要となります。詳細な日報を送る等でカバーできるうちはいいですが、組織が一定規模以上になった際は、CRM(顧客関係管理)ツールの導入や、情報の記録・共有のできる管理システムの導入など、情報保全を簡易に、かつ仕組みとして行える方法を検討するべきでしょう。
また、日々の入居者からの問い合わせ等については、各案件のレポート機能まで備えているコールセンターを活用することで、自分の手で情報を入力せずとも「情報の保全」が図れる仕組みを整えることができます。入居者からの電話対応業務のみならず、対応情報の記録・オーナーへの報告書作成まで外注できるとなれば、社内には「管理事業の拡大」に挑戦するための時間も、人も、十分に備わった状態となっているはずです。