■生産性の低い仕事で「繁忙」はNG
いよいよ師走ですね。繁忙期の足音も、もうすぐそこまで迫ってきました。賃貸管理会社にとっても年に一度の書き入れ時。しかし、そんなときこそ注目してほしいのが、会社の収益性や生産性です。皆さん、いまからでも遅くはないので、従業員の業務の棚卸しをやってみてはいかがでしょうか。
管理の現場は常に膨大な量の雑務に追われていますが、繁忙期はさらに磨きがかかります。解約受付、募集活動、空室確認、原状回復…、まさに目の回るような忙しさです。しかし、管理の現場を忙しくさせている業務のすべてが利益を生む仕事というわけではないことを、経営者やマネージャーは忘れてはいけません。人件費の高い正社員に生産性の低い雑務ばかりやらせれば、会社の利益は当然に下がっていってしまうからです。
そこで、業務の棚卸しです。今のうちに業務の詳細を把握しておけば、たとえ繁忙期の忙しい最中であっても「これは利益を生まない仕事」「これはアルバイトでできる難易度の仕事」といった判断できるようになります。生産性の高い仕事を優先できるようになれば、自然と会社の利益もあがります。せっかくの書き入れ時に生産性の低い仕事で忙しくしていても、良いことは何もないのです。
■分析・戦略・提案こそ管理会社の仕事
業務の棚卸しを行ったなら、確認していただきたいのは、図1のような「考える仕事」つまり分析・戦略・提案の業務の割合です。業績アップに課題を抱えている企業の棚卸し結果を見てみると、驚くことにほとんどの企業が3〜5%程度しか「考える仕事」に時間を割けていませんでした。

管理会社の仕事は、オーナーや入居者に言われるままに目の前の作業をこなすことではありません。オーナーから預かった物件の収益を最大化するべく、物件や市場を分析し、空室を埋める戦略を練り、必要な施策をオーナーに提案することです。オーナーの「賃貸経営」をサポートできなければ、清掃業者や施工会社と変わらなくなってしまいます。可能であれば20〜30%を「考える仕事」に割かせ、バランスのいい業務割合(図2)を目指したいものです。
そして、その「経営」をサポートする能力は自社に対しても発揮されて然るべきです。自社や周囲の市況を分析し、成長戦略を練り、改善策を実施する時間が確保できなければ、会社の成長はありません。どちらの意味でも、「分析・戦略・提案」こそ、管理会社の取り組むべき業務の三本柱なのです。

■外部資源の活用で時間を捻出
とはいえ、組織の人的資源は限られています。思いきって提案専門の部署や分析・戦略策定専門の部署を作るのも優れた方法ですが、限られた人員で実現しようとすると、従来の部署など多方面にその皺寄せが行ってしまうでしょう。
こうした問題の解決には、システムの活用やアウトソーシングが有効です。たとえば、空室確認。繁忙期中は凄まじい数の電話で従業員の仕事が中断されますが、いまは自動応答のシステムが登場し、十分な働きをしています。私のクライアントは、イタンジ社の「ぶっかくん」を導入し、4割以上の電話削減に成功しました。
また、解約方法などの問い合わせが増えるのもこの季節です。解約連絡ならまだしも、ただの問い合わせ対応はまったく利益を生みません。退去立ち会いも正社員の時間を大きく奪います。しかし、アウトソーシングを上手に活用すれば、比較的容易に「考える仕事」の時間を捻出できます。
目の前の仕事を片付けるために働くのか、利益を生むために働くのか。繁忙期まであとわずかですが、一度「考える時間」を作ってみてはいかがでしょうか。