人材教育はどの企業も頭を悩ませると思うが、その管理となるとなかなか目が向けられない。人材教育の過程でどのようなリスクが存在するのか、いくつか例をあげてみる。
<人材教育の過程におけるリスク>
1.教育時間確保による生産性低下
一般的にマネジメント職と言っても、中小企業の場合はプレイングマネージャーとして動いていることが多い。教育に時間を割くことで、労働生産性が低下する。
2.教育の効果が可視化されない
営業であれば教育の効果が「成績」という数値で可視化されるが、事務職のスキルは、どれくらい成長をしたのか測りにくい。結局、上席の感覚でしか育成レベルが測られない。
3.マネージャーの知識不足
いくら管理職といっても、賃貸管理業に携わる知識を全て把握しているわけではない。賃貸管理業の業務範囲は広く、税金や法律だけでなく実務の知識も広範囲で問われる。その全ての知識を管理職が保有できるかと言えば難しのだが、常に新しい知識を吸収して発信しなければならない。
4.教育にかかるコスト
良い教育を受けさせるには、それなりにコストがかかる。例えば専門的な知識を得ようとすれば、開催地は東京や大阪など大都市圏に集中する。交通費・宿泊費・人件費を考慮すると、遠方からは行ける人材が限られ、さらに社員全体のスキルアップにつながることにはならない。
このように人材を育て上げるまでにはリスクがつきものだ。それでも順調に人が育って将来的に会社に貢献してくれれば良いが、残念ながら不動産業界は他の産業に比べ離職率が高い。そこで「マニュアル化」と「社員研修」のあり方を見直してほしい。まず一つ目に当社では、業務の細かいところまでマニュアル化を進めている。紙ではなくクラウドシステムを利用するにより、インターネットの環境があれば従業員はどこででも閲覧が可能である。それにより新入社員にゼロから事細かに教える必要がなくなる。もう一つは社員教育であるが、最近では「e-ラーニング(インターネットを利用した研修受講)」を活用されている事例が増えている。マニュアルと考え方は同じだが、従業員が入るごとに、同じことを何度も教えるのは骨が折れる。さらに教えることが全員うまいとも限らない。専門の講師に教えてもらった方が理解度は高く、わからないことは気を使わずに繰り返し何度も確かめられる。さらに自分の都合で空き時間を活用して学ぶことができるため、ユーザビリティーも良い。上記の2つの共通したポイントは「繰り返し行えることは仕組み化する」ということだ。マニュアルやe-ラーニングを利用することで、繰り返し教える無駄な手間を徹底的に削減して生産性を高めることができる。これから新入社員を迎え入れる時期になるが、改めて「人材教育管理」を意識して「仕組み化」することを考えてみてはどうだろうか。