採用面接時のマニュアル作り

<採用試験の進め方>

 例えば、最低でも一次と二次の最低2回の選考を行う必要がある。この選考に関して、毎回同じ人が面接をするわけではないので、一定の基準で評価をするために、内容を体系化した方が良い。まず一次選考では、簡単な記述式のペーパー試験はした方が良いだろう。漢字読み取り、簡単な計算式、常識問題などを行えばある程度の基礎学力がわかるため、一定の基準以下ということであれば採らない選択が必要だ。そこに関しては絶対評価基準をするべきだ。ペーパー試験といっても日常的に新聞や書籍を読んでいれば分かるような常識問題でよいのだが、それが読めないということは、社会人としての常識がないと判断できる。それから、タイピングテストも一定の基準を定量評価できる。特に事務系の募集の場合は、入力スピードがどれくらいであるのか、正確にタイピングできているのかなどのパフォーマンスを測ることが可能だ。さらに、実務的な記述問題もよい。例えば、“ある状況下でオーナーの物件でトラブルが発生して、さらにオーナーと連絡がとれない中で、費用がかかる処置をしなければならなかった”その事後報告のお詫びで、どのような文章を作成できるかということをジャッジする。しっかりした文章をかける人もいれば、お詫び文章であるにも関わらず「謝ることができない」人もいるので、ここでも社会人としての一般常識が判断できる。

<なぜ?を繰り返して、本心をあぶり出す>

 記述式の試験を終えると、いよいよ面接となる。面接時にも面接官が何気なく思ったことをただ聞くだけでは、評価基準が不明確である。当社では面接官が最低限聞く質問は決められている。20種類ほどの質問をもとに、面接官は質問を繰り返していくことになり、誰が面接をしても一定の基準のもとで評価ができる。ここでのポイントは、質問をしてただ答えさせるだけでは意味がないことだ。答えさせた上に、「それはなぜですか?」「どうしてそのようにしたのですか?」など、自由回答式の質問を繰り返していくことである。曖昧なことを言う人や、嘘をついている人は、「なぜ?」「どうして?」の質問を2〜3回繰り返すことで、必ずほころびが生じる。ほとんどの場合で、面接では採用されたいがために真実よりも大げさに伝えようとする。会社側も採用したい場合、良いことばかり伝えるが、これでは双方にとって「入社したけれど思っていた人(会社)と違う」ということになってしまう。これを防ぐには、まず面接官がしっかりと心を開くことが重要である。自社の良いところも、課題となっている点もしっかりと伝えること。伝えられないような真実があれば、入社しても早々に退社してしまうだろう。それらを根本的に回避するには、会社のインフラや問題点をひとつずつよくしていくことが重要なのだが…。人材不足の時は、1日でも早く人を入れて欲しいと現場からの声が上がる。しかし慌てて入れてしまうと、問題社員を抱えてしまうリスクが生じる。長い目で見たとき、『今までの採用で最大のポイントは?』と聞かれたら、『妥協して採らないことです(笑)』と言ってしまう。良い人材がやってくるその時まで、「採用は我慢との戦い」と思ってしまうのは私だけだろうか。