それから、ロールプレイング終了後のフィードバックの方法には特に気をつけなければならない。ベテランから見たら経験の浅い後輩は改善点ばかり目につくのは仕方ないが、そこばかりフォーカスしては自信をなくしてしまい、むしろ個性や伸びしろを無くしてしまうことになる。もっと良いところを見つけて伸ばすアドバイスがあったほうが、自信持って本番にのぞめる。そもそもロールプレイングは、営業スタッフのスキルアップのための教育であるのに、良いところも褒めず自信を喪失させては、本来ある潜在能力も引き出すことができないのだ。
<チェックシートでフィードバック>
そこでフィードバックに活用したいのが、「チェックシート」である。これがあれば、ざっくりと感覚で伝えてしまいがちなフィードバックを、より具体的に説明するのに役立つ。プレゼンの内容、話の進め方、立居振舞いなど数十種類の項目を、5段階で採点できるようにして、できている部分とそうでないところを数値化する。さらに「良い点」と「改善点」をそれぞれ書き出して、一つずつ丁寧にフィードバックして理解を促す。ここでのポイントは「良い点」をできるだけ見つけだして、“褒めてあげる”ことである。
伝える順序としては、①良い点を褒める→②改善点を伝える→③良い点を褒める、という順序で行う。誰しも自分自身を否定されることは、あまり気持ちの良いものではないが、このやり方であれば、認めてもらった喜びがある分、素直に改善点を飲み込んでもらうことができる。また改善点においては、どうしたら良くなるのかという具体的方法を、ベテランの先輩が「一緒に考える姿勢」が重要だ。さらに、実際のプレゼンテーションをビデオカメラで撮影をして、終了後に各自に見てもらうことも効果が高い。例えばゴルフのスイングの悪いところはいくら人に言われても、解ったようで解っていないような感覚に陥る。しかし自分自身の姿を動画で見れば、言われている問題点が一発でわかる。人は他人から色々と「カイゼン」されるよりも、主体的に自分自身で気づきたいのだ。このように、何と無く行ってしまいがちなロールプレイングも、ちょっとした工夫で成果への近づけることができるので、ぜひチャレンジをしてもらいたい。