業績が上がらない、管理戸数が伸び悩んでいる…、悩みを抱える全国の賃貸管理会社様をご支援させていただくと、ある問題が共通していることに気がつきます。会社の規模は大小さまざまですから、これは賃貸管理業全体の特徴でもあるのでしょう。日々の業務は真面目にこなしているのに業績が上向かないのはなぜなのか? 今回は「選ばれる管理会社の条件」について考えます。
<情報過多時代を教導>
前回の記事では、「オーナーの発信する情報を捕まえるためにアンテナ感度を高めよう」という話をしました。オーナーの求めるものを察知して最適なレスポンスをするためには、教育によってスタッフの知識レベルを高め、アンテナ感度を鍛えることが必要不可欠であるからです。
しかし一方で、管理会社には情報をキャッチするだけでなく、自ら積極的に発信する力も求められていることにはお気づきでしょうか。オーナーは常に、自身の投資に役立つ情報を探し求めています。特に、スマートフォンの普及以降はその傾向が顕著と感じます。個人が手軽に、膨大な情報を得られるようになった現在、求められているのは「本当に自分のためになる情報を教えてくれる会社」です。いささか情報過多の時代だからこそ、オーナーは価値ある情報を的確に発信してくれる会社に信頼を寄せるのです。
<価値ある情報の発信>
①オーナー新聞
情報発信の方法として、たとえばオーナー新聞などの会報誌は、いわば王道の発信手段でしょう。新規オーナー獲得だけでなく、管理物件オーナーとの定期的なコミュニケーションやロイヤルティ向上にもつながります。賃貸経営にまつわる実益ある情報を提供できれば、高い効果が期待できます。
②オーナー向けセミナー
また、自社で行なうオーナー向けセミナーも、ひとつの情報発信。家主が関心を寄せる「税金」「売買」「相続」「空室対策」などをテーマにできれば、新規のセミナー参加も見込めます。加えて、セミナーの出来がそのまま管理会社の評価につながるため、良質な講演が管理受託の成約や案件紹介に寄与することも。
③SNS / ④自社サイト
Webから情報発信は、SNSや自社サイトの活用が主軸となります。現在のSNSはFacebook、LINE、Twitter、Instagramあたりが主流ですが、それぞれユーザー層が異なるうえに発信しやすい情報も変わるため、ターゲットの属性に合わせて媒体を選びたいものです。
自社サイトからの情報発信においては、きちんと役立つ情報を配信して新規ユーザー流入とファン獲得を目指す「コンテンツ・マーケティング」を意識しましょう。『繁忙期の空室対策』『投資の理論』『民法改正のポイント』など、価値ある情報を隠すことなく、むしろ分かりやすく解説して公開することが重要。「大事なことはお会いしてから」のスタンスでは顧客を逃がすことになりかねません。
なお、すべてに共通するのは「価値ある情報を提供しなければ意味がない」という点です。いくら頻度が高くても、ランチの内容や会社で育てている花の話ばかり発信していたのでは、新規オーナー獲得につながらないことは明白。売上につなげたいなら、一部のオーナーに近況報告するためだけの情報発信、となってしまわないよう注意が必要です。
<外注で発信時間捻出>
SNSの登場以降、情報発信の心理的なハードルは下がりました。この記事を読んで「すぐにウチも始めよう!」と考えた方もいらっしゃるでしょう。しかし、いざ始めてみると、まず手間や時間の問題が大きく立ちはだかることに気がつきます。繁閑の差が大きいこの業界において、一年間コンスタントに情報を発信することは決して容易ではありません。たとえ月に1度としても、情報誌の発行やセミナーの開催を2月・3月に行えるでしょうか。情報発信を本気で始めるなら、そのぶん社内の業務量を減らす工夫が必要になるはずです。
<オーナーへの情報発信手段とその特徴>