業績が上がらない、 管理戸数が伸び悩んでいる…、悩みを抱える全国の賃貸管理会社様をご支援させていただくと、ある問題が共通していることに気がつきます。会社の規模は大小さまざまですから、これは賃貸管理業全体の特徴でもあるのでしょう。日々の業務は真面目にこなしているのに業績が上向かないのはなぜなのか? 今回は「選ばれる管理会社の条件」について考えます。
<期待に応える組織になる>
ゴールデンウィークが明け、令和のお祭り騒ぎも落ち着き、ようやく春の繁忙期は一段落というところですね。ホッと気を抜きたくなるタイミングですが、今から年末までの時間を使って何をするかが、成長する会社とそうでない会社との分岐点。空室対策提案やオーナーフォロー、社員教育や資格取得奨励など、やれることはたくさんあります。新しいことに積極的に挑戦していただきたいと思いますが、もし、貴社が「管理戸数拡大」を掲げて開拓営業に注力するのであれば、自社が「選ばれる管理会社」かどうかを同時にチェックしてみてもいいかもしれません。
融資の条件が厳しくなった昨今、不動産オーナーたちの視点は「どうやって儲かる物件を買うか」から「どうやって手持ちの物件で儲けるか」にシフトしています。オーナーの期待に応えられる管理会社、つまり「選ばれる管理会社」になる努力もまた、これからの閑散期に必要なアクションです。
<レポート・報告が正確である>
私たち管理会社が認識している以上に、不動産オーナーは物件での出来事や空室募集の状況を知りたいと考えています。事実、不動産情報サイト各社で集計される「賃貸管理会社に対する不満」に関する調査では、空室を決めてくれないという不満に次いで、反響の様子や入居者対応の状況を報告してもらえない、という不満が挙げられています。
果たして、貴社は募集中の部屋の反響数や内見数、内見をしたのに申し込みに至らなかった理由などについて、きちんとオーナーに報告できているでしょうか。訊かれたら答える、というスタンスでは、オーナーの貴社に対する印象は「報告してくれない」のと同じです。また、こうした報告を電話等で伝えるだけ、というのも少々もったいない話。きちんと管理会社の価値を感じさせたいのであれば、反響の情報をまとめ、結果から今後の戦略を構築し、形に残るリーシングレポートとして提出したほうが効果的です。
なお、これは入居者対応についても同様で、ちょっとしたことも細かく記録し、入居者の不満の度合いや設備交換の発生する恐れなども含めて報告するべきです。募集費用・退去費用が嵩むようになった今の時代、長期入居は収益確保のカギであり、その長期入居が叶うかどうかは日々の管理会社とのやりとりによっても左右されます。下手な対応をしていないか、入居者の満足度が下がるようなことが起こっていないか、オーナーは不安を感じています。そうしたオーナーと誠実に向き合って「安心」を提供できる管理会社かどうか、その客観的な判断の材料こそ正確なレポート・報告なのです。
<本来やるべき仕事への転換>
このようなレポートのできていない会社は、口をそろえて「忙しくてそんな時間は確保できない」と言います。しかし、本当にそうでしょうか。賃貸管理の業務効率化は叫ばれて久しく、様々な支援サービスが登場しています。リーシングであれば、空室確認をITの力で自動化することも可能でしょう。独自に空室確認用サイトを構築する、あるいは業者間流通サイトを十全に活用することで、仲介会社からの問い合わせは大きく削減できますし、アウトソーシングサービスが解決してくれます。業務の工夫によって報告・提案の時間は創出できるはずです。
オーナーは、管理会社の選び方によって収支が変わることに気づき始めています。大半のオーナーの目的が収益の最大化である以上、目的達成に相応しくない管理会社は今後シビアな状況へと追い込まれるでしょう。目の前の「作業」に終始するのではなく、反響分析や空室対策のディレクションなど「オーナーにとって価値ある仕事」にシフトできるかどうか。新時代を生き残る管理会社の重要なファクターとなりそうです。