滞納督促業務を軽減する方法

Q:当社は約1,000室弱の物件をオーナーさんからお預かりしています。管理も順調に増えているのですが、最近は滞納督促に労力を割かれ、労働生産性が大幅に低くなっています。どのようにしたら滞納を減らして生産性を高めることができるでしょうか。

A:滞納督促を効率的に行える「仕組み」を利用しましょう。電話や文章だけで行う「マンパワー型の方法」だけではなく、滞納させないような「工夫」についても考えて実践しましょう。

<滞納率は10%!?>

 管理会社の業務の中で、手間や時間のかかるものといえば「滞納督促」があげられる。過去に数社の滞納督促実績を調べたところ、家賃支払い期日後の月初めに全体の約10%(1000室管理会社の場合、100戸)もの人が「滞納者」だったことがある。ただし、滞納者といっても、全員が悪意のある滞納者ということではない。ほとんどの場合、口座にお金を入れていなかったため引き落としがかからなかったとか、新規契約者で引き落としのタイミングを勘違いしていて振り込み忘れていたという、うっかり滞納者であり、月中から月末に向かってほとんどが解消していく。特に厄介なのが2ヶ月分以上の家賃滞納者が全体の約1%程度もいて、滞納保証が付いていない場合は、オーナーにとっても莫大な損失になってしまう。はじめは「うっかり滞納者」でも、滞納することに慣れてしまえば「悪質滞納者」に変わってしまう。それを防ぐためには、管理会社からの素早い対応とマメな連絡が重要になる。

<SMS滞納督促で無駄な時間を削減>

 通常、家賃は月末に翌月分を支払って頂くため、月初めには誰が滞納しているのかわかる。滞納者に対しては、すぐに督促を行うのだが、100人もの滞納者全ての人に電話をするとなれば、大量のマンパワーがかかってしまう。一般的な督促の業務フローは、電話→書面→訪問と言う流れで、対応するのだが、電話の前に「SMS」を利用して督促を行うこともできる。SMSは電話番号さえわかれば、キャリアを問わず70文字以内で文章を作ってメールを送ることができる。電話で督促しようとした場合、仕事や移動中など、日中は出られないことがあり、夜間でないとなかなか繋がらないということが起こるが、SMSであれば確実に一次督促を完了させることができる。ただし、携帯電話やスマートフォンなどから一人ずつ送っているようでは、膨大な時間がかかってしまう。そこでSMSをパソコンから一斉送信できるサービスを活用する方法がある。利用方法は極めて簡単で、滞納者の名前と電話番号をリスト化してCSVデータで取り込み、そこに定型の文章を一斉に送る。下記の文章がその一例である。『〇〇様、管理会社の〇〇不動産です。9月分の家賃が未納になっています。至急お支払いください。問合せ:03-0000-0000』この方法を利用すれば、確実に短時間で一斉に一次滞納督促を完了することができる。これにより、現在は滞納督促の工数が大幅に減らせるのだ。

<滞納を重篤化させないシンプルな方法>

 もう一つ、滞納者を重篤化させない方法がある。それは賃貸借契約書に下記のような文章をいれてしまうことだ。『賃料等の延滞があった場合は、賃料支払期日の翌日より支払いに到る日までの間、延滞賃料として年率14.6%の延滞損害金と、請求手数料として、電話によるものは1回につき1,000円、文書によるものは1回につき3,000円、訪問面談によるものは1回につき5,000円を支払うものとします。』ここに書かれている「請求手数料」は、更新時または解約時に、実際に徴収をしている。賃貸借契約を取り交わす時にその説明をキッチリと行うことで、滞納の抑止にもなる。それから、内容証明を早期に送ってしまうのも効果が高い。大きなトラブルになってから内容証明を送るケースはあるが、当社では、1ヶ月半程度支払いが遅延した滞納者に対して、すぐに内容証明を送るようにしている。あまり繰り返しやっても効果が上がることはないが、即効性は高い。

 滞納督促のように手間や時間を取られる業務は、マンパワーに頼らない仕組みづくりが労働生産性を高める大きなカギとなる。ここに紹介した事例は、どの会社でもすぐに利用することができるため、ぜひ実践してもらいたい。