クチコミが与える、消費者への影響

 以前に掲載した記事で、消費者購買行動の変化とクチコミの影響について述べたことがあります。クチコミとは、人から人へ物事の評判が伝わることを言います。昔は本当に「人を通じたュニケーション」であったのですが、情報流通の進化と共に、現在ではインターネット上での評判が主流です。私は買物・観光・レストラン・ホテルを探す時など、あらゆるケースで「クチコミ」を利用して消費・購買の最終判断をします。商品のメーカーや小売りの店員さんは、売るために良い事しか伝えてくれませんが、「クチコミ」は同じユーザーが消費をした感想をリアルに投稿しています。つまり、良い情報だけでなく、ネガティブな情報も載っているのですから、それを理解した上で消費判断ができるのです。

 これまで賃貸不動産には「クチコミ」が存在していませんでしたが、ついに「マンションノート」と言われるクチコミ専用サイトが現れました。サイトを見ると、現在や過去の入居者が、物件に住んだ感想を投稿しています。詳細を見ると物件ごとに、治安・お部屋・住み心地・住人の雰囲気など「良い点」と「気になる点」が投稿されています。お部屋を斡旋してくれる仲介の営業マンは、物件周辺の治安や建物設備の事は紹介できたとしても、実際に住んだ事はないのですから、住み心地や近隣の住人のことを話されても、いまいちリアリティーがありません。それからこれまではポータルサイトを見ただけでは物件の詳細住所が出来ませんでしたが、このサイトでは、物件の住所が番地まで記載されています。さらに、物件ごとに建物(管理状況・部屋・住人の雰囲気など)や周辺環境(交通アクセス・治安・飲食など)の点数評価がついており、ユーザーにより定量評価されています。

 近年、お部屋探しは仲介営業マンに頼らずとも、インターネットを利用して自分の条件に合う物件情報が自由に手に入ります。ただし、ポータルサイトでは物件や場所が特定出来なかったため、自分の条件に合っている物件を選定した上で、仲介会社に「内見」をさせてもらっているのです。しかし、住所が明確に記載されたクチコミサイトの出現により、場所・住み心地・近隣環境・設備など、リアルな情報がネット上で得られるのですから、仲介営業マンに頼ることなく、賃借の判断ができるようになるでしょう。クチコミの出現で、消費判断はより厳しくなり、仲介と言うサービスそのものが問われる時代が直ぐそこまでやってきています。