スタッフの教育には労力がかかりますが、ただ時間をかければ効果があがるというわけでもありません。例えば、営業職の教育過程で、「営業はセンスだ!」などと教えられる側に問題を押し付け、教える側に問題があることを提起せず、ムダな時間ばかりが経過していることもよくあるのです。しかし、センスがない人であっても教育を通じて、成果の上がる人にしなければ、組織全体の力はいつまでも経ってもあがりません。
私が考える教育上の問題点としては、2つのポイントがあります。1つは教える側の問題で、「伝え方の配慮」が足りないことです。何が問題でどのようにしたら良くなるのか、どうしたらモチベーションが高まるのかが全く考えられていないケースです。改善点ばかり言われたら、教えられる側もやる気が失せてしまいます。もう1つは、教えられる側の「学ぶ姿勢」です。やらされている気持ちばかりが先行して、限られた時間で成果を上げてみせるという気持ちがなければ一向に学習できません。学習や教育は、勤務中の忙しい中で時間を割いて行われるわけですから、双方とも効果的な方法を選んだほうがよいわけです。
<効果的な学習方法>
一番効率が悪いのは、ただ一方的に教え聞かせるだけで、教えられる側の覚えが悪いと思い込んでいるケースです。実際に、ただ聞くだけの人は、内容の80%が身についていません。反対に、実際の経験に近い形「ロールプレイング」と言われる対話手法は、実に80%も身につくと言われています。よって、読む→書く→話し合う→経験する(ロープレ)を、組み合わせて教育していくことが、段階を踏んだ効率の良い教育(学習)方法となります。また、実際にロープレイングと言っても、演者の良い部分も改善点もあるのですから、それらを一つ一つ理解してもらえるような伝え方が必要です。具体的な方法としては「ロールプレイング・チェックシート」を作成して、項目ごとに良いところ・改善点を数値化して伝える(フィードバックする)ことです。
<営業ロープレチェックリスト>
評価者の感覚値だけで伝えてしまうと、評価基準がバラバラとなり、演者の理解度が低くなるだけでなくモチベーションもあがりません。よって、項目ごとに分けて評価(数値化)することで、演者の強みや改善点が明確に理解できるようになります。ロールプレイングについては、6名1グループとなり、一人ずつ演者(オーナー役、営業役)となり、チェックシートを元にフィードバックすることで、相互的に理解が進むようになります。限られた時間で効果的な教育をすることも、生産性を高める大きな要因となります。