心をつかむ一言

 お部屋探しをしている方は、溢れる情報から自分に合っているものを絞り込みます。賃料・立地・広さなどの条件と、それらをまとめた広告を見て、問い合わせや内覧をするか判断します。

<コントラクト・ピラミッド>

 契約(入居決定)に至るまでに、消費者は図に記載のプロセスを経ます。ご覧の通り、契約のためにはできるだけ内覧数を増やす必要があります。また内覧数を増やすためにはお問い合わせを増やさなければなりません。そして問い合わせ件数を増やすためには、消費者から注目を得て興味が沸くような広告にできるかが鍵となります。興味を沸かせるためには2つポイントがあり、1つは魅力的な条件にする事と、もう1つは広告自体からの興味付けです。デザインや見やすさも重要ですが、見ている人の心をつかむひと言『キャッチコピー』は、行動(問い合わせや内覧)を喚起させるための大切な要因です。

 古くから、募集図面やチラシ等の不動産広告には、キャッチコピーが付きものでした。「日当たり良好!」「利便性よし!」「たっぷり収納!」など、どこか懐かしいフレーズが今でも広告として使われています。しかし、事実を簡潔に伝えるだけでは、今の時代を生きる目の肥えた消費者の心をつかむことができません。まず考えるべきポイントは、『どんなターゲットに、何を一番伝えたいのか』なのです。例えば、物件の最大の特徴が「日当たりの良さ」なのであれば、そこ1点にテーマを絞ります。たくさんのことを同時に伝えようとすると、逆に一番伝えたい特徴が見えにくくなるためです。

 それから物件に対してどのような人に入居して頂くのか、ターゲットの選定をします。ここでも、消費者ターゲットを細分化せずに、すべての年齢層、性別、属性を狙うと焦点がぼやけてしまいます。具体的に例を出すと以下のようになります。入居ターゲットが、平日夜遅くまで働いている忙しい社会人単身者であれば、『ぽかぽか、休もう。』など、たまの休みに陽のあたる暖かなお部屋でゆったりと過ごすことを連想させる方法があります。また、小さなお子様がいるファミリーがターゲットであれば、『おひさまと育む生活』『ひだまりと遊ぼう』など、健康的・遊ぶ・ゆったり・育てるなどを連想させるキーワードを使う方法も良いのではないでしょうか。心をつかむ一言は、消費者の潜在的なニーズを顕在化させるためのキーワードです。顕在化されることが行動への呼び水となり、やがて契約へと歩んでいくのです。