天神ビッグバンの誕生

天神ビッグバン計画には、地下通路整備や、水上公園、地下鉄延伸事業などいくつものプロジェクトがあるんですが、やはり注目は、前回述べたビルの建て替え誘導です。30棟ものビルの建て替えですが、実はハードルは高く、プロジェクト誕生までは色々と経緯がありました。

1973年の都市計画法改正により、福岡都心部の容積率は400%〜800%と定められました。それによって、それ以前に建てられたビルは「既存不適格物件」になっていたのです。もし現行法下で建て替えを行う場合は、10階建のビルを8階建にしなければならないなど、建物の総面積が小さくなることになり、それが建て替えを拒む要因になっていました。

2008年 天神明治通り街づくり協議会が発足。その地域の約100棟のビルがすでに築後40年を超えており、更新期にありました。協議会は、市に対して、機能更新における計画を提案しました。

福岡市は、都心部機能更新誘導方策として、「まちづくり取組み評価」なるものを制定。これが面白いんですが、「九州・アジア」「環境」「魅力」「安心安全」「協働」を評価テーマとし、その貢献度に応じて、最大400%の容積率を緩和することにしたのです。

また、2012年に福岡市は「特定都市再生緊急整備地域」に選定されました。
都市計画決定の迅速化が可能になったのです。

さらにさらに、2014年に福岡市は国家戦略特区として、「グローバル創業・雇用創出特区」に指定されました。「特区」になっちゃったもんで、今度は航空法で規制されていた建物の高さ制限の緩和を特別承認。2017年にさらに緩和され、地上約115mの建物が建てられるようになりました。

こういった規制緩和の動きがあり、アジアの拠点都市としての役割・機能を高め、あらたな空間と雇用を創出する「天神ビッグバンプロジェクト」が誕生したのです。