■情報を残す仕組みを作るには
この「情報の損失」を解決するには、担当者の頭の中にしかない情報・知識(暗黙知)を、日常から誰が見ても分かる形の知識(形式知)にしておくことが重要です。いつどの物件で何が起こったのか、誰とどのような話をしてどんな結論に至ったのか、入居者やオーナーとの対応履歴を細かく履歴に残すだけでも、社内全体での「情報の保全」が図れます。
また、そもそもこうした履歴を残すことは、お預かりしている物件のスムーズな管理・運営や、いざ売却となった際のプラス要素として役立てることができるため、PM会社として常日頃から気を付けているべき部分です。ただ漫然と管理を行なうのではなく、その中で得られた情報を記録・蓄積し、オーナーの賃貸経営に役立てることができれば、管理ビジネスのレベルも自然と高めることができるでしょう。
ただし、実際にこの情報の保全をきちんと行なおうと思うと、入力の手間や情報共有のインフラ構築といった問題の解決が必要となります。詳細な日報を送る等でカバーできるうちはいいですが、組織が一定規模以上になった際は、CRM(顧客関係管理)ツールの導入や、情報の記録・共有のできる管理システムの導入など、情報保全を簡易に、かつ仕組みとして行える方法を検討するべきでしょう。
また、日々の入居者からの問い合わせ等については、各案件のレポート機能まで備えているコールセンターを活用することで、自分の手で情報を入力せずとも「情報の保全」が図れる仕組みを整えることができます。入居者からの電話対応業務のみならず、対応情報の記録・オーナーへの報告書作成まで外注できるとなれば、社内には「管理事業の拡大」に挑戦するための時間も、人も、十分に備わった状態となっているはずです。
固定ページ: 1 2