自主管理オーナーに対する管理受託拡大手法

<しっかりフィーを支払って「よい管理」をして欲しい…>

 賃貸管理業務の内容は多岐にわたり、大量のマンパワーが必要とされる。管理業務に実際にどれだけのコストがかかっているのか、検証もしないまま管理受託を繰り返していけばやがて経営が行き詰まり、返ってオーナーに迷惑をかけてしまうことになる。まずは一物件(一棟)あたりのコストを冷静に分析して、物件ごとにいくらの利益を上げられているのかを検証すべきである。その上で管理を拡大させるようにしなければ、割に合わない仕事を増やすだけで、利益が上がらない割に現場もスタッフも疲弊するだけである。わたし自身、アパートオーナーでもあるが、実際に満足のいく管理会社がこれほどまでに数少ないものなのかと実感している。個人的には中途半端な管理手数料を払って、いつも気がかりな状態が続くよりも、しっかりフィーを支払って納得のいく管理をして欲しいと感じている。

<賃貸管理サービスのメニュー化>

 管理サービスの価値を創造するには、まずは「管理サービスのメニュー化」をしてオーナーのユーザビリティの向上を図るべきだ。よく、『当社の管理の特徴は高い仲介力です』とアピールする企業もあるが、「仲介」と「管理」は、全く別物である。管理そのものの価値をしっかり考えて欲しい。メニュー化は、管理料別に大きく3つくらいに分けられると良い。

 まずは通常の管理業務を「標準管理(ベーシック)」として、サービス内容や業務内容を明確化する。この時、できるだけサービス内容を一つ一つ詳細に記述をしてもらいたい。標準管理の柱が決まったら、2つ目は管理料を標準管理よりも低めに設定した「ライトプラン」について検討してみるとよい。このライトプランは、これまで取引のないオーナーに対して、安い管理料で自分たちのサービスを気軽に利用してもらうためもので、新たなる接点を作るのが目的だ。管理料を安くするといっても、新たなるきっかけを作るためのものであり、永続的にこのライトプランを使ってもらうわけではなく、その上へ向かうための橋渡し的なものと考えてもらいたい。