賃貸不動産における、マーケティング・リサーチ(入居者ニーズの収集法)

 全国的に賃貸住宅の空室率が上昇していますが、依然として各地に賃貸住宅は増え続けています。私が普段から感じる事は、本当にその建築される地域に賃貸住宅が必要とされているのか?十分な需要はあるのか?ということです。必要も無いのに建築をすれば、過剰供給により賃料下落や空室率の上昇を招く事になり、賃貸市場全体の受給バランスが崩れます。

 賃貸管理会社は『大家さんにアパートを建てて頂く事』が目的ではなく、『オーナーの物件を長期間安定稼動させ、必要な物を供給する』ことが最大の目的です。それには、賃貸入居者のニーズを汲み取り出来るだけニーズを取り組む事が重要と考えているのですが、それには、マーケティング・リサーチが欠かせません。

<マーケティング・リサーチの方法>

 マーケティング・リサーチを行うためには、まずはデータ収集が必要になりますが、その中でもデータは、1次データと2次データに分けられます。1次データ(主にミクロ市場情報)とは、調査目的の為に個別に収集したデータを言います。また2次データ(主にマクロ市場情報)とは、官公庁発表の各種統計資料や専門機関からの調査データの事をいいます。賃貸住宅のリサーチにおいては、まずは2次データなどからマクロ情報を調べて、その後、1次データ収集にて、よりリアルな情報収集をおこないます。1次データは、2次データでは収集できないミクロ市場の情報や、数値化できていない定性的な情報を得る時に使います。また1次データは、自分たちが利用したい形で情報を収集できることがメリットですが、反面、個別に情報を収集する必要があるため、時間や費用がかかるのが一般的です。ただし、賃貸住宅のリサーチには、この1次データの収集が欠かせません。

 不動産会社にて直ぐに取り組めるものとしては、既存入居者に対するアンケート郵送法やグループインタビューなどがあります。グループインタビューとは、言ってみれば集団面接をディスカッション形式で行う物で、例えば、既存の入居者をランダムに選んで、テーマを決めて数名に対して同時にインタビューを行うことで、現在の入居者が何を感じているのか?どういう物を求めているのか?等を聞き取ることができます。ただし、注意点としては、参加者のカラーで結論が大きく変わるため、参加者の大まかな性格などを予め把握した上で進める方がよいでしょう。また質問の投げかけ方により、方向性も変わってしまうため、ヒアリング項目も予め社内で協議しておくと、より効果があがります。高額な賃貸住宅ですから、長期間に渡るリスクを最小限にするためにも、惜しみないリサーチは不可欠です。

<賃貸不動産におけるマーケティングリサーチ>

種類1次データ(個別収集情報など)2次データ(統計情報など)
収集方法例・来店者アンケート
・グループインタビュー
・個別インタビュー
・訪問調査法
・電話調査法
・アンケート留置法
・アンケート郵送法
・近隣物件情報収集
・住宅土地統計調査(統計局)
・RSC(不動産情報サイト事業者連絡協議会)
・JREI(日本不動産研究所)
・官公庁統計情報
・各種不動産協会
・リート