賃貸管理におけるマーケティングミックス

 管理会社では繁忙期に入ると、客付け仲介会社から日々何百件もの物件確認の電話が入ります。通常月の倍以上の契約数となる訳ですから、この時期に少しでも多く空き物件を決め、入居率を上げる対策が賃貸管理会社には必要となります。

 都心の管理専門会社の場合は、客付仲介を100%他社に依存しているケースがあります。よって、客付け仲介会社に弊社管理物件の空き情報を知って頂き、優先的に客付けして頂くようなマーケティング戦略が入居率を上げるカギとなります。マーケティングとは広義では、『商品を売るための活動全般の事』を言いますが、賃貸管理の視点で見ると『どのように入居者に選んでもらえるのか?』と言うことになります。ただし、ただ募集をするだけでは入居者希望者に選んで頂けないので、『何を』『どのように』『どこで』『いくらで』という観点から戦略立てを行います。

そこで使われるのがマーケティングミックス(マーケティングの4P)という概念です。マーケティングミックスは、下記の4つの視点で戦略を構築します。

①Product(製品=物件):顧客に提供する製品やサービスを企画・開発する活動

・賃貸で言えば物件力そのものですが、ここで重要なのはいかに入居者ニーズを汲み上げ企画に活かせるのかがカギとなります。

②Price(価格=賃料・条件):顧客との取引の経済的基準となる価格を設定する活動

・いくら良い物件であっても、賃料設定がニーズに合致していなければ決まるものも決まりません。インターネット時代になりデフレも重なり、特に消費者は価格に対して敏感になっています。的確な賃料設定は、早期入居へのカギです。

③Place(流通):顧客へ製品を円滑に移転させるための流通経路の設定や物流に関する活動

・物件を決めるためには流通媒体や客付け仲介会社を利用して、情報を発信する必要があります。入居者の部屋探しにうまく対応するためには、情報発信は欠かせませんが、メディアの選択と活用は重要です。※第7回目トリプルメディア参照

④Promotion(販促=広告):顧客に対して製品の存在を知らせ、需要を喚起させる活動

・賃貸業界の多くの企業で苦手としているのがプロモーションではないでしょうか。物件をいかに入居者に良く見せるのか?と言うことをもっと真剣に考える必要があります。例えば、ネットへの掲載写真や募集図面、広告を見ても、もっと入居希望者の興味を引くものにすべきですが、デザインや表現は一辺倒で多くの空室物件に埋もれてしまっているのが現状です。マーケティングミックスはその一つ一つが大切な要素ですが、結論としては『顧客志向=入居者目線』に立って、バランス良く戦略を立てることが重要です。

<マーケティングミックスの例>

Product(物件)企画、コンセプト、間取り、デザイン、設備仕様などの差別化
Price(賃料・条件)賃料・募集条件適正化
Place(媒体)媒体見直し、FB・ブログからの情報発信、自社HP強化、客付け仲介会社への訪問営業、メルマガ、FAX営業
Promotion(販促・広告)客付けキャンペーン、物件の販促チラシ、モデルルーム化、パブリシティの活用、