賃貸管理における広告媒体(メディア)の相乗効果

<アーンド・メディア:Earned Media>

2つ目は「アーンド(earned:稼ぐ)メディア」と言われる、ユーザーの信頼や評判を得るための媒体である。インスタグラムやフェイスブックなどのSNSをイメージしてもらうとわかりやすいが、「いいね!」や「クチコミ」という機能があるため、効率よく情報を消費者に届けられるのが特徴である。掲載した情報にユーザーが反応したものに対して、さらにユーザーが反応するためユーザーの信頼度が厚くなる。これらは「無料」で利用でき、かつ情報の相互性があるのが特徴であり、使い方によっては費用対効果が非常に高くなる。情報発信力と相互性という点では、活用次第でたくさんのユーザーの目に触れさせることができるため、やり方次第ではとても可能性が期待できる。例えば、物件の紹介動画を製作して、シリーズ化したものを動画サイト「YouTube」などで発信すれば、コンテンツ次第ではたくさんのファンを囲い込むことが可能だ。日本の賃貸市場では、アーンドメディアの活用事例が少ない。せっかく始めてみたもののすぐに止めてしまう企業も多い。ただ、消費者との信頼情報の構築が重要なため、浸透までには時間がかかっても、各メディアとの連動やSEO対策なども含めて相乗効果が出るため、継続するべき価値が非常に高い。

<オウンド・メディア:Owned Media>

 3つ目が「オウンド(owned)メディア」と言われる、自社で運営するホームページやブログなどの媒体である。他の媒体と違い、プラットフォームなどによる制限がないため、情報や掲載するコンテンツなどを完全に自社でコントロールできるというメリットがある。ペイドメディアなどと違い、情報に制限がない。例えば、ポータルサイトであれば、写真や動画掲載などは数的制限があるが、自社でうまく構築できれば、極端な話、写真の数は一物件でも何百枚と掲載することだって可能だ。さらに入居者が決まったとしても、情報を消さなければ入居中や退去前であっても、申込予約や内見予約を受け付けることだってできる。ペイドメディアと違い、お金をかけて構築したものをストックできるため、オウンドメディアは資産として残り続けさせることができる。

 

 このように利用できる媒体は様々なものがあり、入居希望者との接点はポータルサイトだけではない。情報発信にお金をかけず行える、現在の環境はたとえ集客が弱くても、工夫ひとつでもっと他社と差別化することができるのである。