賃貸管理業における、管理会社の「仕事の優先度」とは?

<優先順位のつけ方>

 管理会社を運営するなかで、一番高額なコストは人件費です。人材をどう生かすかがカギですが、なぜか重要度の高い仕事の優先順位はあまり重視されていないように思います。通常、何も考えずに仕事を進めると下記の順序になります。

①緊急性のある仕事(クレーム:現地対応・オーナー対応など)

②受身の仕事(電話対応:物件問合せ・入居者クレーム、退去立会いなど)

③納期のある仕事(家賃集送金業務、オーナー報告、業者発注、募集図面作成など)

④企画・提案系の仕事(管理受託提案、オーナーへの空室改善提案、自社の新商品作り、広報:オーナー新聞・セミナー・HP更新など)

 いずれも大切な業務ですが、この中で、管理会社にとって最も生産性の高い仕事とはどれでしょう。答えは④です。①〜③は、どの管理会社にとっても日常的な対応範囲で、これらは作業的なものが中心となりますが、ライバル他者とは差別化しにくいものばかりです。通常の管理会社では、①〜③だけで業務量が目一杯になってしまうため、④のような「考える仕事」は全く手がつけられていないか、出来てもほんの一部です。つまり「本来やるべき大切な仕事」の優先順位が最も低いのです。その結果として、管理戸数は増えず、入居率が高まらず、オーナーの管理会社へのロイヤルティ(忠誠心)も一向に上がらないという悪循環を招きます。そのような状態では管理会社の収益性は高まりません。

<外部資源の活用>

 人的資源は限られています。多少の残業を考慮しても、一人あたり月間200時間程度しか労働時間を確保できません。人員や時間が不足していて、どうしても④ができない場合には、逆にどうしたらできるのかを考えましょう。例えば、月間総労働時間(一人当たりの月間労働時間×人員)から④の時間を優先的に確保して、もし①〜③の仕事が間に合わないのであれば、思い切って外部資源の活用(アウトソーシング)を検討してもよいのではないでしょうか。④は、各管理会社の特徴を出せる『核』となる仕事です。つまり、やらないということは、自社の強みを自ら消しているようなものなのです。従業員は、従業員にしかできない「核」となる価値のある仕事に専念することで、結果として会社そのものの生産性が高まり収益が改善します。