業務の種類が多岐に渡る賃貸管理業ですが、様々な業務に追われて、日々忙しくしている割には売上が伸びず、管理戸数もずっと何年も横ばいと言うケースをよく目にします。その理由の一つとしては、入居者対応の煩雑性による業務生産性の低下があげられます。仮に、1,000戸の物件を管理する管理会社の場合、1,000人の総潜在入居者・数百人のオーナー・各種業者やステークホルダーが存在し、管理会社は日々いろいろな対応に迫られます。
<入居者対応にどれだけの時間を割いているか>
入居者対応に関していえば、入居者から来る連絡や店頭対応などは、管理戸数に対して20%程度あります。つまり、1,000世帯規模の管理会社の場合、毎月約200人の入居者から、各種クレーム、問い合わせ、解約連絡などの対応を行う事になります。入居者からの連絡が入った場合、その対応が一度で終わる事は稀で、そこから複数回に渡りオーナーや業者、入居者との対応を経て案件が完了になります。特にクレーム対応というと迅速な対応と判断力が求められ、かつ、期限がある案件が多いため優先順位が高くなりがちです。それらに割かれる時間は労働時間の中でも大半をしめ、場合によってはクレーム対応だけで1日の業務が終わってしまった・・・と言うことになります。
<管理会社がやるべき「真」の業務とは?>
賃貸管理業務とは、『現場対応やクレーム対応が最も重要な業務』と考えられがちですが、本来、最も大切な業務はもっと生産性の高い提案系の業務をすることにあります。実際、クレームをいくらうまく処理することができても、その処理能力の高さが売上に直結することは稀です。よって本来は、より生産性の高い業務を優先するべきなのですが、実体はクレーム対応や現場対応のような期限のある業務が最優先となり、生産性の高い『提案』は全く手につかずで、結果として売上や管理戸数が向上しないという負のスパイラルに陥ります。生産性を向上させるためには、業務の振り分けが重要となります。また、それと共に生産性の高い業務にシフトできるような体制作り、組織づくりが重要になります。生産性の高い業務とは、入居率をあげるための『リーシング戦略』、有償管理受託を増やすための『管理受託営業』、『無償管理の有償化』、『オーナー訪問』、『相続コンサルティング』などがあります。
よって生産性を高めるためには、まずは各スタッフの業務を全て箇条書きして、現状の業務分析を行い、より生産性の高い業務へのシフトチェンジをする必要があります。普段行っている業務を全て文字情報化することで、業務を定量評価することが可能になりますし、それらの業務を生産性フレームワーク(マトリクス)に置き換えてみることで、業務の生産性バランスを客観的に見る事ができるようになります。
できる限り、A×Aに時間を使える管理会社にならなければ、生産性は上がることはありません。