とある管理会社でのお話です。
ペット禁止のマンションで、ネコを飼っている入居者がいるという情報が寄せられたそうです。
さっそく管理会社のスタッフが確認にいくと、情報は本当でした。
長らく入居している方で、部屋の中は凄まじいほどボロボロ。
これは大変なことになる・・・とそのスタッフは青ざめました。
オーナーは普段は優しいけれど厳しい方で、「いくら長く住んでいる方だとしても契約違反なので
退去させてほしい」との一点張りでした。どのような理由でも「退去させる」というのは簡単にいくものではないと経験上知っているスタッフの心は晴れなかったことでしょう。
ところが、いざ退去勧告をすると、その入居者は「わかりました。退去します。どうせなら家、買っちゃおっかな！」と、自宅購入の仲介を頼まれたそうなのです。その上、原状回復費として請求した１００万を超える金額も、あっさりと一括で支払ってくれたそうです。
そのスタッフは、気に入った住宅を購入できた元入居者からと、オーナーとのどちらからも感謝されたそうなのです。今までクレームやトラブル対応担当として、入居者とオーナーの間に挟まれて、辛い立場で業務にあたることが多かった彼でした。それだけに、感謝の言葉は胸に沁み入ったに違いありません。私もその話をきいて、ホロっとしてしまいました（笑）。
今回、入居者が良識のある方だった（とはいえ契約違反ですが）ことも幸いしましたが、初動が早く、入居者やオーナーにきちんと向き合ったことが功を奏したのだと思います。