床についたのは20:00過ぎ。剱岳の残りを見終わった頃でした。昨日の晩寝過ぎたからか、全然寝付けないし、寝付けても浅い眠りです。
夜遅くから、徐々に強まる風。日付を越える頃からは、雨風が強くなり山小屋全体が揺れるほどでした。まるで台風が直撃しているような音でまったく眠れません。次第に強くなりそうな槍ヶ岳の風は、風速20m-28m/sとかなりヤバそうです。
午前3:30、下山をするかどうかのミーティングをしました。南西から吹き上げる風を避けて、新穂高右俣ルートから抜けて帰る、行きとは違うコースです。
午前4:00吹き荒ぶ風を避けながら下山開始。うっすら槍ヶ岳が見えます。
まだ暗い中をひたすら下山します。ただひたすら黙々と歩き続けること1時間半、まずまずのペースで降りています。夜が明けてきて、風の影響を受けない谷間を歩いています。
歩き続けて3時間、ようやくここで朝ごはんタイム。ここ数日、炭水化物を大量に摂取しています。
岩場、ガレキ、濡れた林道と、歩くバリエーションがものすごく多く、神経を使います。
途中、土砂崩れや落石の痕跡がたくさんあり(すぎ)て、本来のコースを迂回しながら進みます。
上が崩落して、岩が下まで転がってきています。恐怖すぎますが、こんな所がたくさん。
迂回ルートは、探検隊そのもの。ちなみに、すれ違う人は全然いません。
紫陽花が満開とか、もう季節感も時間も場所もよく分からなくなってきますw
余裕なくて撮れなかった岩場や危ない箇所もたくさん。
4:00にでて10:30には着く予定が、予想以上の悪路で大幅に時間ロス。途中ようやく開けたと思った林道には、こんな貼り紙が。
ちょっとこれ、、、早く言ってよ〜
行き先を阻む巨大な岩場は、度重なる長野での地震によって起こったものでした。もしもこの瞬間地震が起こってたら、イチコロです。涙
歩き始めて8時間になろうとしている頃、最後の砦と言えるような崩落地帯で行き止まり?
と思ったら、迂回路…というか、崖を直線に降りるルート。
笑えないくらい、歩き続けた足には恐怖な直滑降の赤い道標。写真では笑っていますが、全然笑えないレベルです。
そして歩き続けると、合流地点にはこんなnoticeが。ほんと、裏側にもつけてくれないかな…
この山の向こうの向こうの方から歩き続けた8時間半。
ようやく人工物が見えてきました。
予定よりも2時間以上も遅れての到着でしたが、全員無事に下山できてほんとよかったです。
無事に到着できて、2日ぶりの風呂に入ります。
バスで新穂高ロープウェイからさわんどまで行こうとしたら、「それは夏限定のバスです」と言われ、平湯乗り換えが必要ということ。でも乗り換えるバスがあっただけでもよかった。
旅にハプニングはつきものです。それによって経験の幅は大きくなりますし、対処方法や「カン」を培うことができるのでしょう。
ハプニングがない旅なんて、旅じゃないですし、そんな守られた旅はおもしろみがありません。
いろんなことがありましたが、初日、2日目と最高のタイミングでの天気に恵まれ、荒れた山頂から怪我なく帰ってこられたことが、まずはラッキーです。
それから去年のリベンジを共に果たせた最高の仲間たちと、時間を共にできたこと。超高所恐怖症をちょっとだけ克服できたこと。見たことのない世界を体験できたこと。そのどれもが、新しい経験でした。また一つ歳を重ねる前に、大きなチャレンジができたことは、私の人生にとっても大きく勇気づけられました。
高度3080mの山小屋から、高度3180mの山頂まで100m岩場を這って登っているときには、もう2度と来なくていいと思いましたが、今はもう次のチャレンジをしたくてウズウズしています。
そして今は、静岡へ向かう新幹線の中にいます。
さすがにふくらはぎが筋肉痛ですw