これから3回に渡り、賃貸管理会社が業績をあげるための3つのポイント『見える化』『仕組み化』『ルール化』について解説をしていきます。今回は『見える化』についてです。『見える化』とは、一般的に見えにくい業務を誰が見ても分かるようにオープンにして行くという意味合いでよく使われますが、賃貸管理業のケース当てはめてみましょう。
<業務>
賃貸管理業は人の能力に頼る職務ですが、その人の頭にしかない固有のノウハウや知識が、組織の中で情報共有されていないケースがよくあります。本来、情報は組織内で共有されなければなりませんが、その術を知らなかったり、やりたくても時間的余裕がなく出来ていなかったり、と言うケースがほとんどです。見える化の方法としては、各個人の業務棚卸し、活動報告(日報)、入居者対応情報、オーナー対応履歴(個人情報・物件の維持管理の内容・提案)などがあります。それらを、DropboxやGoogleドライブなどのクラウドシステムの中で管理することで、端末を問わずに、誰もが常に最新の情報をお互いに確認し合う事ができます。
<サービス>
入居率を高めるのは最重要課題ですが、それ以外にも迅速な現場対応や、正確な集送金管理、それから手厳しい入居者の対応など、どれをとっても期限があり、手間のかかる業務ばかりです。しかも、多種多様な仕事を同時にこなさなければなりません。きっちり業務をこなしているのに、オーナーから管理の善し悪しを判断される基準は、数値化し易い入居率だけ…挙げ句の果てに管理委託を解約されてしまう…このような悩みを良く耳にします。これらを解消するためには、自分たちが行っているサービスや業務内容をしっかりと表現することが必要です。賃貸管理業はサービスという形の無いものを売りにしています。だからこそクライアントに、そのサービス内容を見て分かるように伝えて行く必要があるわけです。具体策としては管理メニュー構築、月次のリーシングレポート(できるだけ数値化)、入居者対応報告書、オーナー新聞(会報誌)などの刊行物などがあります。
<経営戦略・業務分析>
組織作りやスタッフ育成などは、想像以上にうまくいきません。上層部の思い描く方向性を、スタッフはなんとなく理解してはいるものの、はっきりとしたイメージや定義がないため、目標に差異が生まれます。これらを改善するのには、全て書き出して理解を深め合います。例えば、組織の人材配置、部署別のやるべき業務、自社の強み弱みの理解、会社のドメイン(業務領域)、企業ミッション(理念や使命)などがあります。伝えること、互いに認識することなど、難しいように感じますが、普段行っていることに一手間加えて『見える化』するだけでお互いの理解が深まり、生産性向上への第一歩となります。
<賃貸管理業における、見える化のポイント>
業務 | 各個人の業務棚卸し、活動報告(日報)、入居者対応情報、オーナー対応履歴 |
サービス | 自社管理メニュー、差別化をパンフ化、リーシングレポート、入居者対応報告書、オーナー新聞 |
経営戦略業務分析 | 企業ミッション、事業ドメイン、強み弱みの把握、部署別の業務割、組織デザイン |