新商品開発のプロセス(アイデアの創出編)

 差別化された独自のサービス(商品)を保有することは、企業として競争優位性を保つためには不可欠です。ただ、賃貸管理ビジネスは「差別化が難しい」と思われているのか、あまり思い切ったことをしている会社と出会うことがありません。私は、管理会社は自社の強みを活かした独自のサービス(商品)を、もっと創出できると思っています。突発的なクレームや現場対応に追われることだけが管理会社の仕事ではありません。同じ時間を掛けるのであれば、もっと「考える」仕事を優先的に行える体制を作り、自社の独自性や強みの強化をすることこそ、自社やオーナーの利益に直結するのです。

 さて、新しいサービス(商品)を生み出すためには『新商品開発のプロセス』を踏むのですが、そのためにはまず「アイデア」がなければ始まりません。アイデアは「シーズ(種)発想」と「ニーズ発想」の2種類から生み出されます。「シーズ発想」とは、自社の強みを活かして何かに利用できないかという生産者視点の発想です。「ニーズ発想」とは、顧客が持っているニーズに対して何か解決できる方法はないかという顧客視点からの発想です。その2つの発想と共に、私の場合は異業種のビジネスモデルをヒントにして、この商品を賃貸業界に当てはめたらどうなのかという「模倣(マネ)」を取り入れています。異業種に目を向けると、これからの賃貸業界に必要なヒントがたくさん存在しているのです。具体例としては、以前勤めていた会社で管理会社向けの『オーナー向け月刊会報誌の製作代行サービス』を創り出しました。オーナーに定期的に情報発信をしたいのにできていない管理会社や、既にニュースレターを作っているのですが、その行程(項目出し→文章作成→校正→デザイン→印刷)の時間を圧縮したいという「ニーズ」がありました。実に、各社ごとに膨大な工数をかけて毎月オーナーに情報発信しているのです。しかもその内容・質ともにあまり高いとは言えません。そこへ、講演や連載などを多数こなし、情報発信ができるという強み「シーズ」がありました。それらを掛け合わせて商品化することで、市場に必要とされるものができあがります。

 アイデア一つで、まだまだ差別化ができます。アイデアを創出するためには、見聞を広め、知識を吸収して、私たちならどうするべきかを常に考えることから始まるのではないでしょうか。

アイデアの創出→実行数=成果!