今までのライフプランニングは、結婚・出産・住宅購入という流れが一般的なものと考えられていました。しかし、多種多様なライフスタイルが存在する現在、お一人様やDINKS、また老後の住まいとして、コンパクトマンション(40㎡程度)が人気を博しているようです。
増加する単身者世帯
国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の総世帯数は2019年の5,300世帯をピークに減少に転じています。一方、単身者世帯はというと2030年まで上昇を続ける見込みで、ピークに達する2030年には、1,870万世帯を超えると予想されています。
結婚をしない若者が増えたり、離婚率が約35%になっていたり、平均寿命の男女差が6歳以上あり、元気な高齢女性が独居する期間が長くなっていたりといった理由が考えられます。
FRK(不動産流通経営協会)提言2020〜税制変革への働きかけ
賃貸経営とは少し離れますが、一般社団法人不動産流通経営協会は、「FRK提言2020」の中で、住宅への「多様なニーズが充足される厚みのある市場に向けて」というタイトルでコンパクトマンションニーズへの対応を挙げています。また「令和3年度税制改正に関する要望書」にも拡充要望として、
優遇税制対象の最低床面積要件の引き下げ(50㎡→40㎡)を要望しています。
床面積が要件とされる優遇税制の一例
住宅ローン減税
住宅取得等資金に係る贈与の非課税特例
住宅用家屋の登録免許税の特例
相続時精算課税制度の住宅等取得資金の贈与を受けた場合の特例
居住用財産の買い替え等の場合の譲渡損失の特例
住宅・住宅用地不動産取得税の特例
複数拠点生活ニーズへの対応
生活スタイルの変化はまた、複数拠点生活ニーズをも生み出しているようです。それは高所得者層の別荘所有のようなものではなく、世帯年収が600万台の中堅層の間で起こっているとのことです。また新築マンションにおける、床面積50㎡台以下のシェアも年々増加しています。当然ながら中古マンションの供給も徐々に増えていると推測できます。
税制改正が実現すれば、比較的安価な価格帯、賃貸への変更も容易であることなどから、今後ますますコンパクトマンションへのニーズは高まってくることと思われます。もちろん、賃貸経営の世界でも、多様なライフスタイルの変化に柔軟に対応すべきだと考えます。