業務分析で労働生産性を高める

 <管理会社の仕事を可視化する>

 一人あたりの労働生産性を高めるには、限られた時間で、どれだけの成果を上げているのかを知る必要がある。そのためには業務分析を通じて「仕事の見える化」をすることがカイゼンの一歩と言える。賃貸管理業は業務内容が多岐に渡るため、社員に『この1週間、どんな動きをしたのか?』と聞いても、どの業務にどれだけの時間をかけたのか、本人もはっきりと言えないことがある。つまり感覚で行っている業務時間が非常に多いのだ。業務分析とは、まず業務内容を以下のようにカテゴリーして、各スタッフに携わる全業務内容を書き出してもらう。

  1. 大項目(募集戦略、事務など)
  2. 中項目(オーナー報告、反響分析、広告戦略など)
  3. 小項目(契約書作成、反響数集計、伝票記入など)

 次に、過去1週間分、業務時間を小項目別に記入してもらう。その後、書き込んだ内容をもとに、マネージャーがスタッフと面談を行い、詳しくヒアリングをする。

 その時のポイントは「なぜそんなに時間をかかるのか?」「なぜその行動が必要だったのか?」など、『なぜ?』を繰り返し聴き、しっかりと業務内容を掘り下げていくことである。例えば「契約書類を仲介業者に郵送する業務」の場合、a:契約書を作成、b:押印をする、c:書類一式を封筒に入れる、d:切手を貼る、d:宛名を書く、という流れがある。この一連の業務は、リーシング業務の一つであるが、『そもそも、なぜ主任クラスの人材が、そのように簡単な業務をする必要があるのか?』と問えば、『なんとなく』やってしまっているのである。結局、「漠然と与えられた業務に疑問を持たないこと」が、生産性を下げている大きな要因と気づいていないのだ。「誰でもできる仕事」をコストの高い社員がやることで生産性は上がらない。それよりももっと反響分析や募集・広告戦略など、「考える仕事」に時間を費やさなければならない。