アートと賃貸

管理会社に在籍していたときに、入居者より「画鋲はつかってもいいですか」なんてお問い合わせをいただくことがありました。
「画鋲くらいならいいですよ〜」と答えると、次の質問は大抵「じゃあ釘はどうですか」ときます(笑)。
「釘ですか〜?釘はちょっと〜」と答えながらも、OKとNGの境界点はどこなんだろうと考えてしまっていました。

ダメですね。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にちゃんと明記してあります。

■退去時に賃借人が負担すべきなのは
「壁等のくぎ穴、ネジ穴(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替が必要な程度のもの)」
■賃借人の負担にならないと考えられるもの(通常の使用によるもの)
「壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替は不要な程度のもの)」

なるほど。下地ボードの張替が一つの判断基準なんですね。

快適な生活を送るために、アートなど自分の好きなものを壁に飾って楽しみたいと思いますよね。
でも賃貸なので・・・と我慢している方もきっと多いはず。

そういった方のために、ちょっと調べてみるといろんなツールがあることがわかりました。

●ニンジャピン 針の先がL字型になっていて、少し凹凸のある壁紙であれば、抜いた跡がほとんど見えません。
●コマンドフック 貼るだけのフックで、外したあとがベタベタしません。最大荷重3.5kgのものもあります。
●かけまくり 2本の細いピンが、石膏ボードの中でクロスするため、重さのあるものでも大丈夫。

壁の素材によって、使えるもの使えないものがあります。
どうしても穴を開けるのに抵抗のある人は、イーゼルを利用してもいいでしょう。

ポスターや額、ドライフラワー、リースなど、壁を飾ると雰囲気がぐっと出て
生活も豊かになります。ピン穴や壁の日焼け(ポスターなど外したあとの周囲との色の違い)は
「通常の使用」によるもので、原状回復の義務が賃借人には生じない、とはいえ、
絵画を楽しむとともに、お部屋も大切に使っていただきたいものです。