従業員の育て方

<実践型の手法>
 そこで教育に取り入れたいのが、経験型・実践型の教育手法です。勤務中の忙しい中で時間を割くのですから、学習や教育は効率よく行いたいものです。一番効率が悪いのは、ただ一方的に教え聞かせるだけのケースです。実際に、ただ聞くだけの人は内容の20%も身につけられないと言われ、その事実を知らずに「教えたのにできない」と非難するのは、教える側にも教えられる側にも利がありません。
 反対に、実際の経験に近い形「ロールプレイング」と言われる対話手法は、内容の実に80%が身につくと言われています。教えられる側に、学んだことを理解し、確認し、本番を想定して活用する場を与えるのです。読む→書く→話し合う→経験する(ロープレ)を組み合わせて教育していくことが、段階を踏んだ効率のよい教育(学習)方法であるといえます。
 外部の研修を受ける際も同様です。新入社員用のマナー研修が名刺交換やお辞儀などを何度も繰り返し実践させるように、体験を織り交ぜた研修のほうが短時間で多くの内容を習得できます。最近では、スクール型よりもワークショップ型のほうが多いと感じるくらいに、実践型のセミナー・研修が増えてきました。1週間も2週間も外部の研修に参加させるわけにはいきませんから、短期間でより多くの収穫が期待できるものを企業が選ぶのは当然でしょう。もしかしたら企業もまた、「実践型のほうが社員の習熟度が高い」という「経験」によって、研修の選び方を学んだのかもしれません。