<オーナーへの情報発信>
また、セミナーなどを定期的に行っていることも、良し悪しの判断材料となります。それからもう一つ、これはとても重要なことですが、オーナーと同じ言語で話せること。つまり、「投資分析など、不動産賃貸事業に用いる数値や内容を理解している」ということです。賃貸管理や仲介の窓口担当者は、日常的に作業的な仕事が多く、数字や分析などに疎いケースもよく見られます。いくらオーナーが求めても、そもそもアパート経営や投資分析などについて、全く知識がないのでは、会話が成り立ちません。理解していない上で、様々な改善提案をしてくるのですから、オーナー目線の提案などできるはずもないのです。もちろん、上記に書かれている以外に、客付能力が必要なのは言うまでもありませんが、客付能力が高いことは、管理能力とはイコールにならないので、注意が必要です。
以上、管理会社を見極める7つのポイントを書きましたが、みなさんはどうお感じですか。こんな管理会社、地方にはなかなか存在しないとか、そんな理想的な会社などあるはずもないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。確かにまだまだ少ないかもしれませんが、近年、意識のある管理会社は不動産先進国アメリカに出向き、見聞を広げながら年々進化しているように思います。実際私の周りにも、全国にレベルの高い不動産管理士が続々と誕生しています。
それでは反対に、選んではいけない管理会社についても少し触れてみたいと思います。地元では有名な会社またはフランチャイズでブランドはあるが、「ストロングポイントが客付けだけ」。管理業務における入居者付け(リーシング)は、あくまで管理業務の中の一つにすぎません。入居者付けが強いことは大変大きな魅力ですが、管理能力が低く、入居者満足度が下がってしまえば、元も子もありません。客付け力がある=良い管理会社ということではないことをしっかり理解しておきましょう。それから、オーナーに報告もせず勝手に判断して物事を進める管理会社にも要注意です。例えば、募集中の部屋に入居者から申込みが入り、オーナーへの審査報告もなく契約締結をするというケースがあります。入居者は、ただ入れれば良いということではありません。善良な入居者に長くお住まいいただき、共同住宅を良い住環境を形成するのもオーナーの努めです。管理会社に審査業務を委ねているとは言え、なんの報告もないまま、管理会社の自己判断で進められてしまっては困ります。また、仕事をオーナーに丸投げしてくる、そんな管理会社も困りものです。『入居者から共用灯が切れていると電話がありました。大家さん、交換をお願いします。』『ご存知のように私は遠方に住んでいるで、共用灯は交換できません。御社で行って頂くことはできませんか?』『それは業務範囲外なのです。うちの提携業者を使うと高いので、大家さん直接業者さんを手配してくださいよ。』と、こんなやりとり、あり得ないと思うかもしれませんが、これは私が保有している地方のアパートで実際にあった話です(笑)。東京に住んでいる私が、数百キロ離れた物件まで、共用灯交換にいけるはずもないことを知っていながら、当たり前のように言ってきた、その担当者に唖然としたのを覚えています。
賃貸経営は、事業収支と投資分析で、ある程度成功への定量的な判断ができます。しかし、パートナーとなる管理会社の存在がその成功を支えているということを、投資分析では判断ができません。意識の高い、より良いパートナーは、しっかり探せば全国のあちらこちらにいます。読者の皆様が保有されている物件周辺にも、必ず存在しています。良い管理会社を見つけ出すことは、不動産経営は成功する「鍵」を見つけ出すようなものです。もし見つけ出すことができれば、不動産経営を成功させる可能性が大きく高まることになるでしょう。