連帯保証の極度額について

2020年4月1日より、個人の保証人の保護を図るため、個人が連帯保証人となる際は、保証契約締結時に極度額を定めなければならなくなりました。

この「極度額」とはなんでしょう。
極度額とは、「個人の連帯保証人が負担すべき債権額の上限」
①極度額は確定した金額であること。
②具体的な基準は無く、特段の規制もないことから、公序良俗に反するような極めて高額な内容でない限り自由に定められる。(あくまでも合意を要するので、当事者一方が単独で決めることはできない。)

②にあるように、目安的な金額も定められていないので、設定額に悩むところです。

宅建協会での代表的な4つの意見を紹介します。

●賃料の6ヶ月分相当とする意見
 賃貸借契約上の金銭債務として代表的なものが賃料債務であり、管理会社等が滞納が発生した場合に適切に対応することを前提とするのであれば、6ヶ月相当額を担保できれば良いのではないかという意見。
しかし、退去時の原状回復費用や設備等の破損があった場合の損害賠償などを想定すると、6ヶ月分では不足する可能性がある。

賃料の12ヶ月分相当とする意見
 国土交通省の参考資料では、滞納が発生してから訴訟・強制執行を経て、最終的に回収が図られるまでの平均期間は9.1ヶ月となっている。よって、滞納賃料の担保としては合理的ではあるが、上記のように原状回復費用や損害賠償を想定すると不足する可能性がある。

賃料の24ヶ月分相当とする意見
 連帯保証人の機能・役割からすれば、極度額は賃貸借契約上、借主が負うべき一般的な金銭的債務全体につき、相当程度充足する必要があるとの考え方に立てば、合理的な金額であると言える。

2000万円とする意見
 賃貸借契約上借主が負うべき債務には、滞納賃料・原状回復費用のほか、特別なケースとして、借主の過失等により建物に火災等が発生した場合の貸主に対する損害賠償責務もありえる。当該金額の算定に一定の根拠があるので、金額だけをもって公序良俗に反し無効とは解されない。

極度額はあくまでも貸主と連帯保証人の合意が必要です。私見ですが、2000万が極度額の契約書を前にしたら、連帯保証人はおそらく尻込みしてしまうことでしょう。貸主に対する損害賠償も、保険で担保できる分があります。双方が納得できる金額を設定し、さらには別紙の説明書等を準備し、しっかりとした説明を行った上で記名押印してもらうとよいでしょう。